「座りなさい」

「あ、はい」

彩くんと2人で実家に来た
お母さんはまだ文句言ってる


「彩くん何歳や?」

「2歳」

「え?」

「あぁ!えっと犬でいうとね!
ホンマは23やから
冗談がめっちゃすきで」

「そうか…
美優紀と付き合ってるんやな」

「はい」

「美優紀のどこが好き?」

「全部…
一個ずつあげたらキリない」

「うん
職業は?」

「何もしてへん」

「する気は?」

「したいけど
いつ体が戻るかわからへんから」

「体が戻る??」

「わっわっ…えっと
昔病気で!
ずっと体弱いから」

「…お父さんもうやめよ
こんな人の話聞いても無駄やわ
さっきから話聞くときも
フード被って
年聞いても2歳なんて冗談おかしいやろ?
私は絶対認めへんよ」

「お母さん!」

「…なぁ美優紀
もぉええよ」

「彩くん?」

「美優紀を産んでくれた人を
こんな悲しい顔にするくらいなら
俺は…美優紀から離れる」

「何言ってんの彩くん…」

「でも嘘ついて去るのは
おかしいから
正直に…」

彩くんはそう言って
フードをとった
なかから耳が出た

「な、ほらっ
そんな飾り物までつけて」

「ホンマですよこれ
俺は犬やから」

「なにふざけて…」

「証拠見せますよ」

彩くんは目をつぶり
体に力を入れると
光が放ち犬になった
お父さんとお母さんは
目を丸くして言葉が出ない
しばらくすると
彩くんはまた人間に戻る

「ホンマでしょ?
すいません
やっぱ隠せないし
俺、犬なんです
なんでか知らんけど人間になれて
そのせいで前の飼い主に捨てられて
その時にこの傷ができたんです
捨てられた俺はずっと一人で
早く消えたかった
そんなとき美優紀が助けてくれた
犬の俺に毎日毎日
そして俺を拾ってくれて
俺のこの体のこと知ってからも
ちゃんと愛してくれた
だからもう十分です…
美優紀は優しくて綺麗で
いいところあげたらキリがないから
そんな人が俺とおるのおかしい
俺はひらがな書けへんし読めへん
だから役に立たへん
でも俺は…それでも俺は
美優紀を守ることだけはできる
命をかけて守る自信はある
そんな自信持ってても意味ないけど
…お邪魔しました」

バタンッ

「彩くん…彩くん待って!
お父さんとお母さんは
彩くんのことどう思ってるか知らん
確かに人間になれる犬なんか変や
でも彩くんは普通の人間より優しくて
人間より人間であろうとしてくれる
純粋で真っ直ぐで
私を好きでいてくれる
大切な人やねん!
だから私は何を言われても…
彩くんとおるから!!!」