「昨日、ケイさんが来たから」

「ケイが?」

「昨日な…」






「そろそろ寝よかなぁ」

「えーもう寝るん?
夜は長いよー」

「うわっ!!!ケイさん!?
何で」

「俺様の特殊能力使えば簡単や」

「特殊能力って…」

「今日は山本彩くんに
おとぎ話をしたろうかと」

「おとぎ話?」

「あるところに吸血鬼がいました」

「吸血鬼…?」

「その吸血鬼は毎日退屈でした
だけどあるとき森に迷い込んだ
姫に出会いました
吸血鬼は恋に落ちました
でも吸血鬼は自分と住む世界が違う
だから姫の記憶を少し消して
別れることにしました

別れても吸血鬼は姫を忘れることが
できません
そしてあるとき姫がなんと
吸血鬼を訪ねてきました
覚えていたのです
そして吸血鬼に血を吸うように言いました
吸血鬼は断りました
血を吸うと定期的な激痛や
体調不良がずっとある
そんな想いさせたくない
でも姫は言いました
側にいたい
その言葉に胸を打たれ
吸血鬼は血を吸いました
そして二人は幸せに暮らしましたとさ」

「は、はぁ」

「吉田朱里知ってる??」

「えぇ美優紀と同じクラスやし」

「そっか
この話は俺と朱里の話
ノンフィクションでお送りしましたー」

「ノンフィクションって
まさかっ…」

「信じられへんか?
でもなホンマのこと
牙だって…うぅ
ハァハァほらな?」

「お、おぉ…」

「別に君の血をもらいに来たわけちゃう
あいにく男には興味無いから」

「じゃあなんで…」

「俺の友達にも吸血鬼がいる
そいつにも好きなやつがいるから
人間ってどんな反応するんやろうってな
ただそれだけ
わかってほしいのは
吸血鬼やって悩むし遠慮する
特に俺の友達は
自分を殺し続けるから
だからこの先もし、吸血鬼に出会ったら
少しでいいからわかってあげて欲しい
君にはそういう人でいてほしいから
じゃあね…」






「ケイが…」

「多分俺に考える時間くれたんやわ
でも…ケイさんもアホやな
考える時間なんかいらんのに」

「え?」

「俺は美優紀が好きやで
離れたくない
だから勝手にいなくなるのやめて」

「彩…」

「約束して美優紀」

「…約束」

「そう、固い約束
俺やって美優紀の前から
いなくならへんよ
このブレスレットつけとく
だから
美優紀もこのネックレスつけとって?」

「ええの?ホンマに
吸血鬼やで?」

「それでも美優紀に
変わりはないから
違う?」

「…っ
アホちゃうっ?後悔すんで?
それでもええん?」

「ええよ
今ここで美優紀を離す方が
後悔するの分かってるから」

「これやから人間って嫌い…
アホで仕方ない
冷静に考えれば分かることを」

「うん」

「…お父さんもお母さんも
人間に殺された
それやのに私は…」

「うん」

「彩が…好きや
忘れたかったのに
忘れれんくて」

「忘れんなよオレの事
絶対に…
もう不安にならんでええ
吸血鬼の美優紀が
美優紀の一部なら
全部まとめて愛したるから
なっ!」

(僕が影になるからっ!大丈夫…)

この笑顔
初めて恋した笑顔
そうや、この笑顔や
私が大好きな笑顔
私の大好きな人