「恵、これ縫っておけ」

「はい…」

嫁いだ武将は
ここでは名を轟かせていて
すごい人だった
でも当たり前やけど
私を家柄でしか見ておらず
好きだとも言わなかった
冷めた家
笑うこともなくなった

いつも目を閉じて考える
美優紀は何をしているのか
朱里は笑っているのか
宝物2つちゃんと輝いているのか
たぶんもう二度と会えない
どれだけ願っても
どれだけ叫んでも
届かない…

「…辛いな」


ガサガサガサッ

「なんじゃ?」

バサッ!

「姉上!」

「朱里ッ!?なぜここに」

「昨日敦子に頼んで
馬を出してもらった」

「何を…早く戻りなさい」

「嫌だ
姉上も一緒に」

「何を言ってる?
そんなことできるわけが…」

「もう悲しそうな顔
見たくないから」

「え?」

「毎日、姉上の夢を見る
笑ってる顔が出てきて
でもすぐに泣き顔に変わるんや
それで目が覚める
きっと姉上は今、辛くて
苦しいこと
私には分かる…」

「…朱里」

「私は姉上と美優紀と
3人で生きていきたい」

「…大きくなりましたね
昔はいつも
美優紀と張り合ってお互い泣いて
私のところに来ては
文句を言って
でもお菓子をあげると
すごい笑顔で…
その姿じゃなくなったのですね」

「大人ですもう
私だって姉上を守れます」

「っ…」

「だから」

(恵っ!!!
誰だ!?)

「申し訳ありません
妹です」

(妹…?
まぁよい
恵、難波の国に武田軍が攻め込んだ)

「え…?」

(我が軍も加戦する)

「そう…ですか
朱里、帰りなさい」

「嫌だ姉上も」

「いい加減にしなさい
大人になったのでしょ?
なら分かりなさい
私はもう渡辺ではありません
石田家の者です
だから早く」

(何を言ってる)

「え?」

(お前はこの家の家来だ)

「旦那様?」

(だから帰ればよい
お前の…祖国に)

「石田様…?」

(最後に言っておくが
私は家柄で選んだわけでない
さぁ、行け!!)

「っ…はい」

「姉上行きましょ」

「うんっ」




(いいのですか?石田様)

(よいのじゃ
落ち着いたらちゃんと話そうなど
虫が良すぎた…
笑えるなこの国を収める者が
愛する女に気持ちを伝えれないなど)

(ですが…この戦は敵どうし
恵様も狙わなくては)

(なぁ…なぜ戦などするのだろうか
普通にお互い拳を交え
終わってから傷だらけになりながら
手を取り合う世の中になれないものか)

(石田様)

(戦の準備じゃ…)

(ハッ!!)