目を開けると人間になってた
俺は美優紀の方が見れんくて
顔を背けたまま
万が一の時に用意してた服に
着替えた

「美優紀」

着替えて美優紀を見ると
驚きを隠せない感じ
そして少し距離をとってる
そうやろ?おまえやってそうや
受け入れてくれなんか言わへん
無理よな
こんな…化け物なんか

「分かったやろ
俺が何で野良でおったか」

「…」

「悪かったな
面倒見さして」

「…」

「こんな化け物…なんかのため」

「…」

「でも大丈夫や
慣れてるし
何とも思わへんから」

美優紀は何も言わなかった
少し期待した自分がアホみたい
美優紀なら受け入れてくれるんちゃうか
なんて…有り得へんのに
こんな人間の姿に耳が生えて
尻尾があるやつ

「ありがと…幸せやったで
…じゃあな」

ぎこちないけど少し笑って
扉に手をかけたとき

ギュッ

「…美優紀?」

美優紀が背中に抱きついた

「こんなことあるんやな」

「あぁ気持ち悪いや…」

「幸せやな」

「え…」

「驚いた
目の前に彩くんが現れた
ずっと…

夢で見ていた彩くんが」

「夢…?」

「お願いしてた
彩くんが人間になりますようにって」

「う、そやろ…」

「ホンマやで…」

「何言うてんねん
化けもんやで?」

「なんで?」

「なんでって…
俺がいたって
ええことない!
俺なら大丈夫や
野良の方が気が楽で自由で」

「そんなこと言うなら


泣かんとって」

「っ…」

「彩くん…やっとわかった
懐かなかったことも
人間を信じなかったのも
よかった…やっと安心させて
あげれる」

「安心?」

「私は貴方が必要
人間の彩くんも
犬の彩くんも
だからどこにも行かんとって」

美優紀はお腹に回す手に
力を込めた
涙が止まらんかった

「ホンマは…ここにいたかった」

「うん」

「否定してるのに
野良の方がええって思ってんのに
捨てられたくなくて
美優紀の帰り待ってたくて
怖かった…」

「うん」

「俺の事、必要としてほしかった
それだけで…」

美優紀は
正面に回って
俺の頬をなでた

「好き、大好き
私の方が変やで?
だって犬の彩くんに
ホンマに惚れてたんやから」

「美優紀…」

「今日から彩くんは
ペット兼彼氏や
…って彼氏の意味わかる?」

「分かるけど
俺でええんか?」

「もー話
聞いてた?
好きって言うたやろ?
それとも彩くんは私じゃ不満?」

「そんなわけないっ!」

「…ありがと///」

「付き合ってるなら
何するか分かる?」

「分かる…」

「んっ…」

美優紀は目を閉じた
人間のこと分かろうと
色々調べてた
だから分かる
ゆっくり近づいて
唇に唇合わせた…
何か変な気持ち
胸がキュッって
唇を離すと何か寂しかった

「彩くん、耳たれてる」

「あ…」

「もー1回?」

そう言って笑う美優紀

「うん」

「可愛い…」

今度は美優紀が
近づいてきた
口に触れる前
小さく呟いた…

「大好き」