俺の日課は
朝起きてのんびり伸びをする
リビングのソファーの下
餌が用意されてる
それを食べて
そして、人間になる
自由に変幻できるようにしとく
人間でおれる時間も長くなってきた
急に変わることはなくなったし
コントロールもできる
練習する理由、1つは
できるだけ長く美優紀のそばにいたい
もう一つは

美優紀のとこから出ていくため

ずっとおることは無理や
いずれ限界が来る
美優紀の前で人間になれば
捨てられることもわかってる
だから練習して
人間で入れる時間長くして
働いて暮らして行けるように
そうすれば生きて行ける


夜になると俺は玄関の前に立つ
美優紀を出迎えるため
ここで待ってると喜ぶから
すごい笑顔になってくれるから
それが嬉しくて

ガチャッ
「ただいま」

おかえ…あ

(なんや犬飼ったんや)

「う、うん」

(寂しいな)

誰やこの男
悪い人間の匂い
頭がクラクラするような匂い
なんなんや…

「ワンッ」

「彩くん大丈夫やで
よいしょ」

美優紀は俺を抱えると
強く抱きしめた
匂いでわかる
コイツのこと怯えてる

(あーあったあった
前に泊まった時
忘れててんなぁ)

「そっ、じゃあ」

(何なん?まだええやろ?
お茶でも飲もうや)

「え?…うん」

(あー、でもそれより)

「キャッ!!」

男は美優紀を後ろから抱きしめた
美優紀は驚いて俺を落とした

「ごめん!彩くん…ンッ!!」

(犬なんかどうでもええやろ?
楽しもうや)

「嫌っ!彼女おるやろ!」

(あー喧嘩してさ
まぁええやん)

「アカンっ!やめて」

(とか言って…ノリ気やろ?)

「嫌や…やめて!」

(別れたくないとか言うてたくせに)

「嫌っ!」

美優紀が泣いてる…

「ワンッ!!…ガブッ!!」

(イッテ!!!何やねんこの犬)

ドスッ!!

「クゥゥッ!!」

「彩くんっ!」

(彩くん?人間みたいな名前つけて
それで寂しさ埋めてんの?)

「やめて…お願い」

「ウゥ…ワンッ!!ガブッ!!」

俺はもう一度男に飛びついた

(イテッ!!!ホンマに何やねん!
もうええわ
じゃあな!)

バタンッ!!!

「ハァハァハァ…」

「彩くん!ごめん!ごめんなぁ
また傷だらけや
いっつも守ってもらって」

泣くなよ美優紀…

「ホンマに最低や…
飼い主失格や」

そんなことない…
俺は美優紀の顔を舐めた

「彩くん…」

俺は痛む体を起こして
美優紀の膝の上に乗って丸まった
美優紀はゆっくりと撫でてくれた

「ホンマに優しいな彩くん」

「ウー」

「照れてんの?」

「ワンッ」

「ハハハッ…彩くんが」

「ワン?」

「…人間やったらええのにな」

「…」

「なんて…何言ってるんやろうな」