「彩おっはー」

「よ、上西
お前…また髪染めたんか」

「まぁねー
いいやろー」

「目立つんやけど」

「ええやんかー
ダンサーは目立ってなんぼやし」

「そーかいそーかい」

「でも、選抜落ちてんけどな」

「選抜?」

「そ、今度の大会
ソロで踊るやつあるねん
それ無理でさぁ」

「誰が選ばれたん?」

「みるきーやで」

「っ…」

「何があったか知らんけどさ
みるきー頑張ってるし
維持張ってへんと
話したら?」

「別に
それにどーせアイツのことやし
飽きたーとか言うて
辞めるんやし
あんまり期待せんほうが
昔からアイツは」

「お前って最低やな」

「は?なんやねん急に」

上西は鏡で髪を直して
俺の方見て真剣に答えた

「真面目にやってるみるきーを
見てもないくせに
バカにするなんて
人としてどーなんやろ
あんまり調子乗って
みるきー傷つけるなら
許さんけど

なーんてっ
恵くん怒っちゃうぞ☆」

「…なんやねん」

「でもほんまのことー」

(こらぁ!上西恵!
また髪いらったなぁー!!
生徒指導室来いっ!)

「あーららっ
ホンマにモテる男は辛いなぁ
じゃーね彩ちゃんっ」






モヤモヤしながら
部活に向かう
朝、上西に言われたことが
胸に引っかかる
確かに俺はアイツを見てへんのに
言う資格ないよな
上西は昔からダンスやってて
めっちゃうまいらしい
その上西じゃなくて
美優が選ばれる
それはアイツの努力なんや
おばさんが美優は
毎朝、朝練してるとかいうてたな
それだけ頑張ってんのか

少し道を変えて
ダンス部の練習場所を覗くと
鏡に向かって真剣に踊る
美優がいた

ドキッ…

ふわふわしてるのと
変わってカッコイイダンス
…心臓に悪いわホンマに


俺と美優はずっといた
お風呂も寝るのも一緒で
ずっと手つないでた
そのまま中学に上がっても
いつも一緒
それが楽しかったし幸せやったのに
周りは男女を意識した奴たち
からかわれることが増えた
付き合ってるんかーって
その時の俺は
付き合うことは恥ずかしいことやって
勝手に思って
美優を突き放した
あの時の顔…忘れられへん
今でも後悔してる
美優とおらんくなって
寂しかった
心が苦しくなった
その時気づいた
美優のことが好きやったんやって
遅いのになぁ…

「お疲れ様です」

(おぉーお疲れ!
あ!ええところに
なぁなぁ彩ってBの
渡辺美優紀と幼なじみやねんな)

「え?あぁはい」

(紹介して!
俺、めちゃくちゃタイプやねん!)
(俺も俺も!)

「えっと…」

(あ!きたきた)

指差す方向を見ると
上西の彼女と歩く美優

(ヤバイよなぁ
吉田も可愛いけど彼氏持ちやし)
(あのチャラ男やろ?)
(だいぶラブラブらしいし)
(ちぇーやっぱ美優紀ちゃんやんな)
(つか、スタイルめっちゃええよな)
(出るとこ出てなぁ…)
(エロいよな
踊ってる時とかヤバかったよなぁ)

ドンッ!!

(彩?どうしてん)

「い、いえ
俺、連絡先知らないんで
すいません」

イライラして仕方なかった
そのイライラを
発散するために
俺はボールを蹴り続けた