「彩さん?」

「ん?」

「行かなくていいんですか?」

「…おぅ」

おぅ、ちゃうわ
ずっと外をボーッと見て
このまま別れたら
後悔しかせぇへんくせに
そんなに長い付き合いちゃうけど
良く分かる
柊ちゃんとよく似てる
お互い相手を思いすぎてる
そして頑固
だから周りが背中を押さへんと
ホンマに困った彼氏さんやわ

「行こ」

「だからええっ…」

「後悔すんの分かってるやろ!
なに意地はってんの
ばっかみたい
柊ちゃん傷つけてそれで終わりなん?」

「けど…」

「ダメ男のままでええん?
柊ちゃんの笑顔みぃひんでええん?」

「それは…」

「ほら、行こ?」

「…おぉ」




(10時15分発…搭乗券をお持ちの…)

「柊ちゃん行こっか」

「…うん」

「…やっぱりもうちょっとおる?」

「え?」

「彩のところ
ホンマはいたいんやろ?」

「…しゃーかは柊ちゃん
邪魔やって」

「それはな…」

「でもな柊ちゃん知ってるねん
しゃーかは嘘つくときな
上向くねん
柊ちゃんにひどいこと言うた
しゃーかは上向いてた」

「柊ちゃん…」

「しゃーかはな
嘘つくの嫌いやねんで
胸の奥が痒くなるんやって
しゃーかは嫌いなのに
柊ちゃんに言うたから
柊ちゃんがママのとこ行ってほしいから
だから
しゃーかは今、泣いてるねん
柊ちゃんしゃーかにごめんなさい
したい
嫌いって言うてごめんなさいって
しゃーか…許してくれるかな」

「当たり前やろ?
彩は柊ちゃんが大好きなんやから」

「うん…ママ」

「ん?」

「しゃーかもみるきーも好き
でも、柊ちゃんはママとパパも
大好きやから
ママの手握っていたいねん」

「柊ちゃん…どうし…」

「っ…柊ちゃん強くなったのに
泣いちゃうねんっ
ママの隣にいたいっ
ギューしてほしいっ…」

柊ちゃんは体を震わして
私を見上げた
そうや柊ちゃんのことまた
考えてなかった
柊ちゃんは私と居たいって
言うてくれてた
それやのに彩のところにって

「柊ちゃん…
ごめんな?ホンマにごめんな…
大丈夫今度は離さへん」

(菜々さんそろそろ飛行機が)

「あ…そうか
柊ちゃん…あのな?」

「ええよママ
しゃーかはアホやからな
きっと柊ちゃんの心わからへん」

「ハハハッ鈍感やもんな」

「うん鈍感女ったらし」

「愛菜から教えられたんやなぁ
ホンマに教育に悪いんやから」

「へへヘッ」

「柊ちゃん…行こっか」

「…うん」

柊ちゃんは最後にもう一度
空港の入口を振り返って
誰もいない入口に手を振った
そして私を見上げて
大好きな笑顔を向けた

「柊ちゃん、行こ…」







「柊っ!!!!!」


声がして振り返る
すると息を切らした男がいた
遅いわ…ダメ男