彩くんはもうおらへん
どっかに行ってしまった
嫌いやったんや
ホンマにアホみたい
こんな男に捕まって

(ほら、い…)

「ワンワンワンッ」

(な、何やねんコイツ!)
(野良犬やんけ!)
(噛まれたらやばい!)
(逃げんで!)

男たちを追いかけ回す
小さな体
来てくれたん?
私を…また助けてれるん?


「ウーワンワンッ!!」

彩くんはこっちに向かってきた
少し寂しそうな目でこっちをみて
そのまま歩き出した

「待って!
行かんとって…
彩くん、お願い…行かんとって」

「…ワン」

「彩くん?」

彩くんは
私に近づいてきて
足を舐め始めた
そうや、私裸足やった
傷だらけで痛い
彩くんは心配そうな目で
舐めてくれた
ホンマにこの子は優しい子やな

「彩くん…
私に飼われてくれへん?
貴方と一緒にいたい」

「…」

「ダメ?」

「…」

「分かんない…か」

彩くんは足を舐め終わると
私の胸に飛び込んできた

「彩くん?
キャッ…くすぐったいって」

「ワンッ」

「…いいん?」

「ワンッ」

「彩くん!」



俺をすげー力で
抱きしめる美優紀
ったく、普通の犬なら
潰れてるで
けど、どうしてもほっとかれてへん
必死にこんな俺を追いかけて
側にいてほしいって
アホやと思ったけど
嬉しかった
コイツならって少し思った



「イテテ…めっちゃ切れてるなぁ」

「ウー」

「大丈夫
彩くん舐めてくれたから」

「ワンッ」

「心配してくれてんの?」

「クゥー」

彩くんはそっぽ向いた
恥ずかしいんや
可愛いなぁ
そう思って彩くんを抱き上げた
今までなら少し抵抗してたけど
すんなりと抱き上げられた
私の目を見つめる
大丈夫か?って聞いてくれてるみたい

「ありがと彩くん」

ペロッ

「ヘヘヘッちゅーしてくれてんの?」

「っ…ワンッ///」

「あーもぉ照れんとってやぁ」

「ワンワンワンッ」

「ごめんごめん」

「ウゥ」

「はぁ…よかった
戻ってきてくれて
もぉ離さへんよ」

「クゥー」

「信じてへんの?
なぁ、なんでそんなに
信じてくれへん?
何かあったん?」

「…」

「…いつか分かったらええな」

「ワンッ」

「うん」

美優紀は少し悲しそうに
キッチンにいった
ホンマにこれでよかったのか
全くわからへん
どうせ俺のホンマの姿を見たら
離れていくのに
けど、あのまま去っていくのは
考えられへんかった
だって、最後に見る君の顔が
笑顔じゃなくて
泣き顔なんて絶対嫌やから
アホやと思うけど
俺は


飼い主の美優紀が好きや