このままここにおったらアカン
私は更衣室に戻って
制服に着替えた
今日の体育は休もう
人の匂いを嗅ぎすぎたせいか
牙が出てきてる
このままやったら自制できひんし
それに…あの子にあったから尚更

先生に具合悪いって言うて
早退することにした
フラフラする
血を飲まないと…

「ただいまー」

「ん?ミユ?早いやん
どうし…ちょ、ちょいっ」

「フラフラする…」

まーちゅんは仕事を中断して
私を抱えて部屋まで
運んでくれた

うちの家は和菓子屋さん
おじいちゃんから
続く老舗のお店
私もたまに手伝う
まーちゅんが作る和菓子は
優しくて暖かくて大好きなんや

「大丈夫かぁ?
これ血」

「ありがとー…」

「やっぱり夏は辛いかぁ」

「辛いー…」

「まぁ仕方ない
リナも帰ってくるし
ゆっくり寝とき?」

「うん」

まーちゅんが部屋を出て
一息つく
胸のピックがひんやりしてて気持ちいい
あの子にまた会えた
私のこと覚えてないかなぁ
これ見せたら思い出してくれる?
でも見せへんで思い出してほしいなぁ
胸がモヤモヤする
あの子に対してはこの気持ちが生まれる
苦しいけど気持ちいい
不思議な気持ちやなぁ




(おはよー)
(おっはー)

挨拶が飛び交う教室
やっぱり今日も熱くてしんどいなぁ

(渡辺さん)

「え?なに?」

(山本くん呼んでるで?)

「山本?」

知らん名前また
告白か…憂鬱になりながら
外に出るとあの子がいた

「あ、渡辺さん」

「あ…」

「あ、覚えてる?
いや昨日驚いたわ
ドリンク持っていったら
おらんかったからさ」

「ご、ごめんなさい」

「ううんええよ
しんどかったんやろ?
大丈夫」

「うん、もう平気」

「そっかよかったわ」

「ありがと」

「ええよ、
太陽苦手なん?」

「え…」

そうやって聞く顔は
昔の姿と変わらない
ホンマに…変わらへん

「フフフッ」

「え?」

「ううん
優しいなって」

「そーかな
てか、渡辺さん有名やねんな」

「有名?」

「うん
特徴言ったらすぐに
渡辺さんやって」

「あぁ…」

「何かうんざりしてる?
そーやんな
知らん奴から声かけられて」

「う、うん」

「あ、俺も迷惑やんな!
ごめんな?心配でさ」

「ううんっ!山本くんは
大丈夫やから!」

「へ?」

「…あ、ごめんなさい」

「なんで謝るん嬉しいで
俺、山本彩
隣のクラス」

「あ、渡辺美優紀」

「うんよろしく
仲良くしてな」

「私も」

「あ、やべっ
次体育や
じゃあまた、渡辺さん」

「うん…また」