新たな長編




(お前喧嘩売ってんのか!)
(ここは俺らの…うわっ!!)

ガブッ!!

「ペッ…目障りや
縄張りなんかどーでもええ
俺の通る道や邪魔すんな」

(おい、あの左目のキズ)
(アイツかこの辺荒らし回ってる
やつは!)

雑魚どもがほざく
負け犬の遠吠えなんてのは
上手く言ったもんやな
負ける犬ほどよー吠える


繁華街の路地裏
ここが俺の家
俺のすみか

(ごめんねごめん…)
(ミカちゃん…?)
(元気でね…)


ッチ…思い出してどーする
過去のことや
俺を捨てた

(化物や!)
(帰れー!帰れー!)

生まれたとき
母が事故で死んだ
道で倒れていた俺を救ったのは
あの子やった
ずっと一緒にいた
いれるとおもってた
でもあの夜あの日
体が痒くなって熱くなった
目を開けたら俺は人間の姿やった
急いで振り向いた
暖かい家族は俺に色々物を投げた
そして体の熱が冷めて犬に戻ったとき
俺は捨てられた
左目のキズはその時ついた

「結局俺は一人や
こんな化け物誰も相手にせん
誰も信じひん」








「別れるって…?」

(お前重いねん
顔と体以外微妙やわ)

「待って!ちょっとねぇ!」

こんな道の真ん中
通行人の笑いもの
またや、好きな人ができても
私の好きと相手の好きが合わない
いっつもすることして終わり
顔がいいって言うけど
この顔のせいで周りの女の子は
皆私をいじめる
好きでもない人に好きやと言われる
その嫉妬から

「私は一人なんかな」

雨が降ってきた
傘なんて
持ってない
例え持ってても差したくない
濡れたいんや今は

(傘いりますか?)
(お姉さん一人?)

私に話しかけないで
そんな表面上の気持ちいらない
大っきらい
やめてやめて…触れないで

耳を塞いで
路地裏まで走った

「…なんで私生きてるんやろ」

(うぅーワンワンッ!!)
(ワンッ!)

「え、野良犬っ?」

目の前に現れた野良犬
目は虚ろで牙をむき出してる
どう見ても危ない
逃げたいけど
背中には壁、追い詰められてる
ここで噛まれて死ぬんかな
こんなところで
私らしいかな…その方が
このままここで…

(ワンワンッ!!…キャインッ!!)

「え?」

噛み付こうとした犬が飛んでいった
目を横にやると
左目にキズのある犬が
野良犬たちに向かっていった
犬たちはすぐに逃げていった

「…助けてくれたん?」

「ウゥ…」

「あなたは飼い犬…あ、ちょっと」

「ワンワンッ!!」

「…ついてくるなってこと?」

「…ワンッ!」

犬はそのまま去っていた
これが私と彩の出会い