日向の庭先
色とりどりの洗濯物を
綺麗に並べる
今日はいい天気

「もう春やなぁ」

この一週間の嫌なこととか全部
洗い流された気分になるんや
この真っ白なシャツを見ると
春めいた風が今、吹き抜けて
私の髪をなびかせる

腕のしわ、腰のしわを
伸ばして
パンパン叩いて
ロープにかけてほしていく

「春の~うららの~隅田川~」

気分がのって
歌も歌いたくなるもの
洗濯してるときが
一番好きかもしれない
嫌なこと辛かったことを
汚れとしてそれを洗い流して
くれるんやから

「のーぼりーくだーりのー」

「えらい機嫌ええな」

「あ、彩っ」

ラフな格好で
眩しそうに目を細めた彩
多分タバコ吸いに来たんやな
部屋の中では
吸わんとってって約束したから
ホンマはやめてほしいんやけど
なかなかやめられへん彩
仕事も忙しいみたいやし
だからこそ
綺麗なシャツで頑張って欲しい
気持ちもある

「山田ぁいつまでこの旗飾るねん」

彩が指さしたのは
前にした何かのパーティで
使ったおもちゃの小さな国旗

「だって可愛いやん」

「結構目立ってるんやけど」

「むぅ…」

「フグたんになってんで」

そういって私の
頬を片手で掴んで空気を抜く
でもその手を離さないから
口がウーッってなってる

「しゃやか離して」

「ハハハッ変な顔」

「もぉ…ンッ///」

「ごめんごめん」

彩はホンマにずるい
余裕な顔で
私を振り回すから…

「でも、このシーツ
結構前に買ったのに
だいぶ白いな」

「あー、ちゃんと洗濯してるもん」

「そうか…
何か洗濯見てると
なんか、気持ち楽になるよな」

「え…」

「白いシーツのようにさ
真っ白になって
乾いて
そしたらまた明日頑張ろって」

「フフフッ」

「なんやねん///」

「同じこと思ってた」

「…そ」

「照れてんの?」

「んなわけないやろ」

「ふーん」

そっぽ向いてタバコに火をつける

「もぉー汚れちゃうやんか」

「部屋じゃ吸われへん」

「やめたらええのに」

「やめられへん
俺、いっかいハマったら
やめるの無理やから
だから、山田と同棲してるんやろ」

「なによそれ//」

「お前にハマったってこと」

「…そ、そこは
好きになったとか言うてや」

「嫌やわ」

「ケチー!」

「何とでも言え」

「むぅ…」

「またフグたんやな
なに?キスしてほしいん?」

また余裕な感じで笑うから
腹たった

「うん、してほしい」

「え///」

「フフフッ」

「はぁ…みるきーからの
悪影響やでこれは///」

そう言って
真っ赤になってキスしてくれる
こんなベランダで誰かに見られる?
それはないよ
だって私たちのことは
白いシーツが隠してくれてるから…