菜々は私が小学生の時に
近所のゴミ捨て場で倒れていた子
可愛い顔してるのに
身体中傷だらけやった
そんな姿を見て家に連れて帰った
お風呂に入れて綺麗にして
最初は私にすごい
怯えてた
どうやら父親からDVを受けてたらしい
その姿が私と重なって
私は菜々を抱きしめた
何時間も…すると菜々から
弱々しく抱きしめ返された
その日から菜々は一番の友達になった

父は菜々を使用人としてなら
家に置くと言ってくれた
だから菜々は私の使用人
でも私は友達として接した
菜々は優しくて大人で
いつも私を助けてくれた
辛い時は抱きしめてくれた
だから私は耐えれた
菜々がいてくれたら私は耐えれる
けど、ある日
高校が決まった日耐えられないことが
起きたんや…

「恵、話がある」

「はい」

父さんに呼ばれて
部屋に行くと
そこには泣いている母さん
久しぶりに見た母さんの涙
一瞬パニックになった
なんで?私が男になれば
母さんは幸せになるはずなのに…

「話って…」

「あぁ…お前もう
男にならなくてもええよ」

衝撃過ぎて
言葉が出ない
どういうことなんや…?
男にならなくてもええ?

「それは…どう、いう?」

「息子ができた」

「え!?」

母さんを見ると
首を振る
嫌な予感がした
父さんは続けて話した

「別の女や
息子ができた名前は恵介
コイツに継いでもらう
だからお前は…」

「何やねんそれ…
じゃあ俺は…?何の為に!!」

「すまなかった」

「すまなかった?
そんなんで許せるわけないやろ!
母さんも傷つけて!
どこまで自分勝手やねん!」

「そうやな
でもこの家のため仕方なかった」

「家のため
そうか家族より
この上西って名前がそんなに
好きか…
もうええわ…出てく」

「待て、恵
お前は医者になれる
ここで勉強して」

「医者になんかなるわけない
見たくもない
もうここにはおらん
その恵介とかと
どっかのアバズレと幸せにな!」

バタンッ!

部屋を出て
荷物をまとめる
すると母さんが来た

「待って、ここに出てどうするん?」

「働いて一人暮らしする
母さんも行こう
こんなとこいる意味ないやん」

「恵…アカンそんなことしたら」

「なんで!」

「私からお父さんに言うから
とにかく部屋にいて?ね?お願い」

「…」

やり場のない怒り
気が狂いそうになる

「恵…」

「菜々、くんな」

「嫌や…」

「今、お前に当たるのは嫌やから」

「ええよ、私は恵のものや
好きにしてええ」

「アカン、お前も
そろそろ分かれ…
お前はそんなに負い目感じんでええねん
料理の福本が好きなんやろ?
恋してもええから
もう私に囚われるな…」

「違う!恵!
私は恵がおらへんと…」

「ええから!一人にしてくれ!!!」

「恵…」