ブーンブンブン…キィーーー!!

「みるきー!早く行き!」

「うんっ!」

改札を急いでくぐって
ホームに出た
そしたら


「みるきー!彩は…」

「愛菜…素直になるの
遅かったみたい…」

そこには誰もいなくて
静かに風が吹いていた

遅かったんや
そりゃそうやんな
傷つけて傷つけて
彩やって
うんざりしてたんや…

「みるきー…」

「ごめん愛菜
帰ろ?
配達しにいかへんと」


結局お父ちゃんの配達の
残りは私が変わった
愛菜はずっと私を
励まそうとしてたけど
そんな気を遣わしてる
自分が嫌で
私は森に入っていった

「森はやっぱりいいなぁー
おっきくて…」

ザァーザァー

風が吹いてくる
森はいつも私を励ましてくれる
どうしたん?なんかあったん?って
聞いてるみたいや

(ニャーッ)

「猫?あ、ちょっと
どこ行くん!」

猫をおいかけたら
一番大きな木に登っていった

「もー降りられへんやろぉ
全くもぉ…」

木に登って
猫を迎えに行く
そーいえば彩と会ったときも
猫探してたなぁ…

「彩っ…会いたい」










「呼んだぁー?」

「え!?」

声がした方
下をむいたら
彩が立っていた

「彩…」

「美優紀…
いやぁ、親父がさ
一人で自由にすごしたいねんって
まぁ昔からそうやから
久しぶりに顔を…」

ドスッ!!

「うぉっ美優紀…」

「良かった…間に合ったんや」

「え…?」

「ごめんな彩…
たくさん傷つけたやんな
私のせいでいっぱい
嫌な思いしたよな」

「…してへんよ
何言うてんねん」

「嘘や…アホっ…」

「アホちゃう」

「なぁ彩
ここにおってくれるんやんな」

「んーそうやな
まぁせっかく見送りに来てくれたのに」

「私、見送りになんか行ってない
伝えに行ってん」

「伝える?」

「私は彩が好き」

「…な、なに言うてんねん
俺もうここに残るから
別に愛菜くん…」

「今、愛菜は関係ないっ
私は彩の話してるねん」

「なんで…だって美優紀は…」

「気づいてん
ホンマに大切なもの
ホンマに好きなものに
私は
そのままの私を好きって言ってくれた
彩のことが好き
いつも笑ってくれる彩が好き
もう…遅い?」

「ホンマにいうてるん?」

「うん」

「昨日も?」

「そうやで」

「同情じゃなくて?」

「うん…本心で」

「俺の事…好きなん?」

「うん、大好き」

「…はぁぁぁ」

「どうしたんっ?」

「もぉ何やねん
ホンマにもぉ…」

「彩?」

「ホンマにアホなことしたわ
昨日素直に受ければよかったのに
俺疑って
傷つけたやんな」

「彩に比べたらマシ」

「ありがと…」

「うん」

「なぁ…美優紀」

「んー?」

「今度は間違いちゃうよな」

私の肩を掴んで
見つめる彩
彩が言わんとすることは
分かってるで…
私は少し頷いて目を閉じた
すると3秒後
口にはレモンの味が広がった


ここは都会から離れた
田舎
便利なことなんか何もない
でもなここは都会とは違う
愛が帰る場所なんや
そうやろ…彩っ



end