えーっとこれが
出荷してええやつ
これが…

「美優紀」

「あ、お父ちゃん
今日の配達リスト頂戴っ」

「…お、おぅ」

「じゃー行ってくる」

ミニバイクにまたがって
配達に向かう
これを繰り返せばええねん
当たり前の日常を繰り返せば
なにも思い出さへん



「みるきーこーへんな」

「…」

「やっぱり私呼んでくる!」

「いいですよ菜々さん
俺が傷つけたんやし」

「けど、最後やで?」

「むしろこっちの方が
お互い楽ですよ…きっと」

「お兄ちゃんっ」

「ん?」

「僕強くなったで!
お兄ちゃんがおらんでも
大丈夫やっ!」

「そっか…それなら
安心や
美瑠ちゃん春のこと頼むわ」

「任してて
こんなん言うてるけど
昨日はずーっと泣いてたから」

「ちょ、ちょっと!」

「ハハハッ…」

「彩!これ俺と朱里から
彩が来て俺ちゃんと
朱里と向き合うことできた
ありがとうな」

「最初彩のこと
都会からきてここ舐めてんのかなって
思ってたけど
そんなことなかった
恵よりしっかりしてた
出会えてよかったで」

「俺の方こそや
上西と朱里は
最初に友達になってくれたな
ホンマに嬉しかった
お前たちとおって
毎日楽しかった
ホンマにありがとう!」

「彩くん、これクッキー焼いてん
よかったら食べて」

「ありがとうございます
菜々さんはいつも
影で支えてくれて
感謝してます」

「やめてやぁ…泣くの我慢してんのに
もぉ愛菜何してんのかなぁ」

「何か忘れもんとか
言うてたけど…」







「ありがとうございまーす
さて、次は」

ブーブーッ!

「愛菜!?」

「みるきー何ここでのんびりしてんねん
彩のとこ行かへんのか?」

「行っても傷つけるだけやし
今更…」

「後悔すんで!」

「後悔なんか
もうしてる…だからほっといて!」

「ほっとけるわけないやろ!
…泣いてるお前を」

「え…」

妙に頬が冷たいと思ったら
私泣いてたんや…

「今なら大丈夫
もう一回ちゃんと伝え?」

「でも…今からじゃ
配達やって…」

ブーンブン…キィー

「俺が行く」

「お父ちゃん?」

「あー…しゃーないやろ
娘を取られんの腹立つけど
お前が笑ってへん方が腹立つねん」

「っ…」

「俺のバイクの後ろ乗れ
駅まで行ったるから」

「間に合うかな…」

「…間に合わす」



「みるきー!!」

「んー!?」

「俺も言いたいことあってんー!」

「なにー!?」

「俺の初恋は菜々じゃなくて
みるきーやってん!!」

「え?」

「だから、俺やって片想いしてた」

「…」

「じしんもって!
みるきーの笑った顔好きや!」

「…浮気やぁー!!!」

「なんでやねん!!」

バイクの後ろ
よかった後ろで
じゃないと
泣きそうなんバレるもん
ありがとう愛菜
自信でた…