バタンッ!!

「お姉ちゃんおかえ…
お姉ちゃん?」

バタバタバタッ…ガチャン!

「菜々ちゃん
みるきー何か…」

「…ええよ
私行くから
美瑠はもー寝とき?」

「うん…」





ガチャッ

「みるきー?」

「ッグ…ッグ」

「…どうしたん?」

「菜々じゃん…
どぉじよぉ…」

「えぇ…とりあえず
鼻水かんで…」

「うん…

どうしよ…」

「ん?」

「彩に嫌いって言われたぁ」

「え?」

「彩に好きって言うたのに
信じてくれへんくて
伝わらへんかった」

「そっか…」

「彩が嫌いっていうから
私も嫌いっていうて
彩、哀しそうやったのに
逃げちゃった
今日が最後なのに…私っ」

「泣かんとって…」

菜々ちゃんは
私を優しく抱きしめた
菜々ちゃんの匂い好きやなぁ
優しくて甘くて
安心する匂いやねん

「ちゃんと伝えれた?」

「…ううん」

「明日言うたら?」

「…」

「みるきー?」

「…いやもういい」

「え…?」

「彩な私が好きっていうたときな?
ホンマに辛そうやってん
私のこと忘れたいんやって
そうやんな
好きやって言うてくれたのに
私はずっと彩の優しさに甘えて
彩が怒るのも無理ない…」

「みるきー…」

「遠くに行ったらさ
忘れれるよお互い」

「ホンマに?」

「たかが
半年くらい?
それくらいの思い出なんか
すぐになくなるっ!」

「みるきー
自分に正直にならへんと
辛くなるで?」

「…正直になって
後悔してん
もう後悔したくない…」

「…」

「菜々ちゃんごめんな
一人にして」

「…わかったおやすみ」

バタン…

そうや、すぐに忘れれる
きっと好きって言われたから
勘違いしたんや
こんな気持ち間違いやねん
好きって伝わってもいなくなるんや
意味ないやん
側にいないんやで?

「あーアホらしっ!
いたっ…唇切れたぁー
…あ」

(うわっ!!)
(…ご、ごめんっ!!)
(旦那っ!?)
(美優紀が好きや)
(好きなままでええよっ)

初めてキスしたのは
彩やった
あのときはただ
自分にいい加減になってて
愛菜にみせつけたかった
愛菜に依存せんでも
私は過ごせるんや!って
けど彩はそんな私を好きと言った
愛菜を好きなままでええよって
自分の気持ち殺して
私のために色々してくれた
なんで彩は
そこまでしてくれたん?
私なら無理
今、彩が別の子のこと見てたら
嫌やもん…
彩はすごいな?


「…あれ
なんでなん?
彩のこと忘れようとしてるのに
彩のことしか出てこーへん
泣きたくなんかないのに…」

知らん間に
こんなにも彩を好きになって
しまったんや…

「…好きやねん
ホンマに好きやねん
なんで伝わらへんの…
いかんとってやぁ
そばにいてやぁ…
好きやぁ…」