「里香ー!」

「おぉっ恵
なになに?どーしたん」

「今日、家泊まってや」

「なんやねん急に
残念やけど今日
彼氏来るねん」

「はぁー?親戚より
彼氏かコノヤロー!」

「口悪いでホンマに
しゃーないやろ
会えてなかったんやし」

「ふーん」

「興味ないんかい」

「いや、何か里香
恋愛してから綺麗になったなぁーって」

「やろ?」

「謙遜せんのかい」

「そりゃそーやで
女は恋してキレイになるもんや」

「ふーん」

「恵は?朱里のことやろ
どーせ」

「は、はぁ?何がやねん」

「悩んでるから
泊まって言うてるんやろ?」

「悩んでるっていうか」

「っていうか?」

「…どーしたらええんか分からん」

「何が」

「朱里ちゃん見てたら
自分じゃない気がするねん
何か…いつもみたいに
軽く声かけて
てきとーに遊んで
捨てれる自信がない」

「捨てへんくても
アンタ最低やな」

「ヘヘヘッ」

「はぁ…恵のなかで
何か変わったんやろ?」

「まぁそうなんかな」

「朱里見たらなんかなるん?」

「ドキドキしたり…
何かムキになったり?」

「答え出てるやん」

「好きちゃうで!」

「へ?」

「好きになるわけないやん
俺が…女なんか」

「…恵」

「ごめん当たってるよな
ちょっと頭冷やしてくるわ」

「ちょっ、ちょっと!」





「空って青いなぁ」

小さい頃
お母さんとよく雲の形
見たっけ
あれ美味しそうとか
あれは、乗り物やぁーとか
毎日楽しかったなぁ
あの時はお母さん笑顔で
優しくて…
けど、あの日から
アイツのせいでお母さんは
俺に笑わなくなった
ずっと謝って
苦しんで苦しんで
いなくなった
当然姿を消した

(恵、ごめんね)
(お母さん限界かな)
(幸せになってね)

「クッ…思い出したくもない」

イライラしてきて
学校から抜け出した



(あれー?お兄さんめっちゃイケメンやん)
(私らと遊ばへん?)

繁華街でぶらぶらしてたら
結構遅い時間になって
お姉さんたちに絡まれる
まぁこのルックスやしな

「やめとくー俺
可愛い子しか好きにならへんから」

毒づいても
気持ちは晴れへん
このままどっか行こっかなー
静かに消えれたりせーへんかなぁ
皆に偽りの自分見せて
自分も偽って
しんどいなぁ…

ドンッ

「…」

「いったぁ…あれ?
あ」

「ん?」

ぶつかって振り向いたら
朱里ちゃんがいた

「どーしたん?
何かふらついてるけど」

「別に…?」

「何かあったんやろ?」

「何もない
てか、関係ない
ほっといて」

「上西恵」

「なに」

「辛いとき誰かといた方が
楽やと思うけど」

「…」

「ふーんじゃあ
家来て」

「え?」

「今日は一人でいたくない」

「うんわかった
行こ」