「帰るってなんで!!」

「父さん車椅子の生活で
たぶん苦労してると思うんです
だから支えてやりたいんです」

ガラッ!!

「お兄ちゃんっ!
どういうこと!」

「春…聞こえたんか」

「僕、お兄ちゃんがおらへんと」

「春?お前はここに来て
体が強くなった
笑顔も増えた
ここなら大丈夫や
もう心配いらへん」

「でも…」

「お母さんと約束したんや
春を守るって
けどいつかは自分で守れるように
なってほしいって思ってた
叶って良かったわ」

「お兄ちゃんっ…」

「泣くな春
永遠の別れちゃうから
ちゃんと会いにくるし
会いに来てや?」

「うん…」











「美優紀」

「彩っ」

「暇やし遊ぼうや」

「うん!いいで!」

彩に遊ぼって言われた
胸がドキッってするし
自然と笑ってしまう
あぁホンマに好きやねんや
いつの間にか
私を支えてくれる彩に
自分より私を優先してくれる
彩に惚れてたんや

「何するー?」

「美優紀がやりたいことは?」

「木登りっ!」

「おぅええな
それしよ」

なんで彩はこんなにも
優しいんやろか

「ほらー!彩早く!」

「美優紀早いってば」

「おーそーいー」

木登りは昔から得意やった
愛菜が木登り大好きで
それに追いつきたくて
菜々ちゃんは木登りが苦手やったから
木の上だけやと二人になれた
けど、愛菜は下から見上げる
菜々ちゃんばかり見てて
横で妬いてたなあ

「美優紀ーっ」

「んー?」

「危ないんちゃうかー?」

「大丈夫大丈夫
慣れて…」

バキッ

え…?

「うわっ!!!」

「美優紀っ!!!」

木の上で
足をかけた枝が
おれて
体が真っ逆さま
あ、地面が…こんなにも近くに

「イッタァァー!…くない?
彩?」

「いってぇ…怪我ない!?」

「う、うん
彩は?」

「大丈夫大丈夫
ホンマに気を付けへんと
俺おらんかったら
怪我してたで」

「うんホンマにごめん」

「ええよ美優紀が怪我してないなら
それでっ」

ドキッ…

「彩…」

「ん?」

彩の目を見つめると
赤くなって逸らす
そんな姿が愛しく感じる
彩に触れたい…そう思って
唇を近づけた

「ンッ…あれ?」

唇に触れたには固くて
目を開けたら
彩の人差し指やった

「彩…?」

「フフフッ…2回も間違えたらアカンやろ
愛菜くんにしてもらわへんとな」

「彩…ちがっ」

「あ、もう夕陽やん
配達終わったおじさんくるし
帰ろっか」

「うん…あ、彩
血出てるっ」

「え?あーホンマや
擦れたんやなきっと」

「擦れたって
大丈夫?急いで手当て」

「自分でできるから
ほら、帰ろ?」

彩は悲しそうに笑って
歩き出した
彩違うねん
もう愛菜のことは忘れてん
ううんそれ以上に
私は…








彩が好きやねん