(朱里ちゃん
ホンマに可愛いなぁ)
(デートしよ
デート!)

「いや、だからちょっと…」

(ええやん)

こういうの苦手やねんけど
どうしよ、なんとかせぇへんと…
けど、朱里…

「あれー?
朱里ちゃんやんっ!」

「…上西恵」

「何してんねん
ほら帰ろーや」

「上西…」

(ちょいちょいお兄さん)
(その子俺たちのこやから)

「へぇー
悪いけどこの子俺のやねん」

(じゃー痛い目にあって
もらいましょうかっ!!!
…イデデデデッ!!!!)

上西に殴りかかってきた
男は思いっきり手をひねりあげられた

「あのさ
俺暴力嫌いやから
早めにどっか行ってくれへん?」

(っち…)

「はいはいバイビー
よし、朱里行くで」





「怪我ない?」

「うん…
なんで助けてくれたん?」

「なんでって
そりゃ可愛い子は
守りたいやん」

「なんやねん」

「ヘヘヘッ…送っていく」

…ほら、今の顔
さっきまで
めっちゃ笑顔やったのに
ときとぎ哀しそうに笑う
その顔が気になるねん…

「なぁ、」

「ん?」

「ホンマのあなたは
だれ?」

「何言ってるん?」

「…だれ?」

「さぁ
なーいしょ」

「…」

「ほら、家ついた
じゃーね朱里ちゃん
あ、お礼はキスとかで全然かまわ…」

「じゃっ」

「ちょいちょーい!!!
はぁ…ホンマの俺か…」





ガラガラ

「おー恵やん」

「よ、里香」

「何?
なんか用ー?」

「ベット貸して
寝るわ」

「ええけど
どーしたんよ
なんかあった?」

「いや、別に」

「…誰かにバレた?」

「いや、ちゃう」

「ふーん
てか、誰かにいうたら?」

「アホか…言う奴なんて」

「友達めっちゃ多いやろ」

「あんなん
友達なんかと思わへん
所詮信じるやつなんて
おるわけないねん」

「ひねくれてんなぁー
あ、てか吉田朱里は?
あんた知り合いみたいやん」

「んーまぁ…」

「ふーん朱里絡みか」

「…」

「いいんちゃう?
朱里ええ子やで?」

「無理やわ
あーいうタイプ」

「根はええ子やで?
見た目はあんなんやけど」

「だからや…
俺には無理」

「そ、でもな
里香はアンタの味方や
だからいつでも頼ってや?
恵はずっと我慢して…」

「別に我慢なんか
慣れたわ
なんとも思わへん」

「恵…」

「じゃ、俺バイトやから」

「ちょっと恵っ!」

「…」

ガラガラ

「ふぅ…あの子
いつからあんなんに
なっちゃったんや」

(別に我慢なんか慣れたわ)

「恵…
慣れてええことちゃうねん
アンタの我慢は…」