男たちに触られて
もうダメやって思った時
息を切らした恵がいた

「なんで…」

(誰やお前)
(なんか用?)

「離せ…
そいつは俺の…」

(ん?)

「俺の…大切なアホや!!」

恵はこっちに向かって走ってくる
男たちは
恵を殴る

アホやな
昔から喧嘩弱いくせに
ボロボロになって
泣いてたやん
それやのになんで来たんよ…

「グハッ…ハァハァハァ」

(そろそろ終わりにしよーや)
(そうやそうや…うわっ!!)

遠くから何か飛んできて
その方向を見たら

「愛菜くん…」

「お客様?こいつらは
私の大切な妹と弟です
傷つけたこと…後悔しろ」

(え?…ぎゃぁぁぁぁぁー!!)




「朱里大丈夫か…?」

「愛菜くんありがとう」

「ええって
あぁ…恵
大丈夫かぁ?
ほら、肩」

「いい…
愛菜くんありがとう
じゃ」

「恵…」

「朱里、今が素直になるときちゃう?」

「え…?」

「アイツに伝え?大丈夫やから」

「…うん」






恵を探す
というか場所はわかる
この村の人が落ち込んだ時にくる場所

「おった…」

恵は川を眺めてボーっとしてた

「恵」

「…なんの用や」

「隣ええ?」

「好きにせぇ」

「…さっきは助けてくれて…」

「俺は助けてない
助けたのは愛菜くんや」

「…恵
違う、私を助けてくれたんは
恵やで?
怖くてもうアカンって思った時に
来てくれたのは恵やからっ」

「っ///」

「だいたい、お前がアホやから
何で夜にあんなとこ」

「星は夜じゃないと見えへんもん」

「ったく…」

「なぁ…恵」

「ん?」

「昔も今日みたいに助けてくれたな」

「あー
森の中迷い込んだやつか」

「あのとき
ホンマに怖くてどうしてええか
分からんくてな…」

「ホンマにアホやなお前は…」

「そのとき恵の名前呼んだ」

「え…」

「そしたら恵が来た
今日やって恵が来た」

「っ…たまたまや///」

「たまたまでも嬉しい」

「なんやねんっ
今日は素直やんけ
俺の事好きなんかぁー?」

「うん」

「…え」

川の流れがよく聞こえる
自然と言えた

「恵のことが…好き」

「…」

「あ、口の横切れてる」

「あ、あぁ殴られたから…っ!!
アホっ!触んなやっ!!!」

「痛いんや」

「当たり前じゃどアホ」

「…ごめん」

「あ…いや、まぁ
川の水で流したし
そんなに腫れてないから」

「…モルヒネの10倍」

「は?…ンッ///」

「…キスには
モルヒネの10倍の効果があるって
昔、菜々ちゃんが言っててん
痛いの治った?」

「え…お、おぅ」

「そっか…帰ろっか」

「…待て」

「ん?」

「まだ効いてない…」

「え…?」

「もう一回しろ…///」

「…ええよ」

恵の首に腕を回して
唇を合わせる

恵は朱里のこと好きなんかな
それとも場に流されてんのか…
でも、どっちでもいい
好きな人とキスできてるんやから
今は…どっちでも