美優紀のturn
「菜々ちゃんも朱里も
ちゃんと昨日家ついたんかな」
私はどちらかといえば
お酒が強い方
けどあのふたりは弱いくせに
めっちゃ飲むから
「んーっいい天気
お出かけしよっかなー」
楽な格好で
外に出る
電車に乗って
遠く行こーっと
電車は休日やから
まぁまぁ混んでた
つり革を持って
立って待ってる
駅について扉が開くと
また人がくる
ジャンジャン…
隣に立った
男の子
髪は金髪でピアスめっちゃ開いてて
ギターを背負って
まぁまぁおっきい音で音楽聴いてた
私、こういう人嫌い
やっぱり3Bってアカンな
すると目が合った
すぐ逸らされたけど
すごい鋭い目
怖いなぁ…
次の駅について
またドアが開くと
おばあさんが入ってくる
席空いてないなぁ…
あ、あの高校生たち
どかへんかな…
「君たち…おばあさんに
席譲ってあげて?」
(はぁ?なんやねんおばちゃん)
(俺ら部活で疲れてんねん)
「おばっ…はぁ
あのねぇ…」
(あーあババアは
口うるさいからなぁ)
(ほら、どいたで)
「なんなんよ…あ、どうぞ」
(すいませんねぇ…ありがとう)
「いえいえ」
まぁ少し嫌な気したけど
おばあさん座れたから
良かったかなって思ってたとき
「おい、お前ら」
「え?」
横におった
金髪の人が
高校生たちを掴んだ
(っ…なんやね…ん)
「この人に謝れ」
(は?俺ら席譲ったやろ)
「ここは優先座席や
疲れてんのか知らんけど
ばあーちゃんとかには譲るもんやねん
そんなこと習わんかったんか?」
(っ…)
「この人は正しいこと言うてんねん
お前らに傷つけられる筋ないねん
はよ謝れ」
(す、すいませんでした)
(でした…)
「え、あぁうん」
高校生たちは
隣の車両に移った
金髪の人に
お礼言おうと思ったら
電車を降りようとしてた
チャリンッ
あれ?ピアス落としたっ!
「あのっ!」
電車から降りて
追いかけるけど
イヤホンつけてるから
聞こえてない
「待って!!」
「んぁ?」
そう言って
鋭い目で私を見る
「これ、落とし…ましたよ」
「ん?…あぁ!ありがとっ!
これめっちゃ大事なやつやねん」
そう言って
笑顔を見せる
「い、いえ」
「ん?あぁ、ごめんな
今日コンタクト入れてなくて
見にくいねん
睨んでるつもりはないでっ」
「あ、そうなんですか」
「おぅ」
「あっ、あのさっきは
ありがとうございました」
「え?」
「高校生たちに言うてくれて」
「そんなん当たり前やん
お礼なんかいらんでっ」
「いや、でもありがとうございます」
「おぉ…
あ、お姉さん何歳?」
「え?…23ですけど」
「やっぱり
俺、20やからタメでええよ?」
「う、うん?」
「なぁ!連絡先教えてや!」
「へ?い、いやぁそれは」
「俺、お姉さんに惚れたわ」
「は、はぁ!?」
「うん、だからお願いっ!
なっ?」
「いや、でも…」
「うざかったら拒否してええし
無視してもええからさ!
な?頼むっ」
「…じゃあ」
「やった!ありがと!
よしできた
俺、山本彩
難波駅の近くのライブハウスで
ライブしてるから来てなっ!」
「気が向けば…」
「絶対ええからさ!
そうや名前なんていうん?」
「渡辺美優紀…」
「おっけ、じゃあ美優紀
待ってるからな!」
そう言って彼は去っていった
「美優紀って
年上だっての…」
でも、
あの外見で分からなかった
彼の優しさとか
素直さ
そして、あの時の触れた手に
少しドキッとした
「アカンやん…
3Bや…」