時が過ぎて
彩の手術前日

「彩…ついに明日やな」

「おぉ」

「ハハハッお前も成長したわ
昔は手術やって言うたら
泣いてしたくないって言うてたのに」

「そりゃ俺だって成長すんねん
それに…」

「それに?」

「…美優紀のこと
置いていったらアイツ
生きていかれんやろ///」

「…それはお前やろがぁぁー」

「あぁー!髪ぐちゃぐちゃなるっ!」

「ったく
まぁその気持ちあるなら
ええわ
じゃあ今日はよく寝ろよ」




「みるきー」

「まーちゅん何ー?」

「これにサインして?」

「これ…同意書?
でも、これは彩の両親が」

「もちろんもらった
まぁ心なんか入ってなかった
やっぱり彩のこと
もう家族と思われへんねん」

「…」

「けど、彩は一人やないやろ?
みるきーがおる
家族がおる
俺はそんな戸籍の家族の同意より
みるきーの同意が欲しい」

「同意って…死ぬってことやろ?」

「…あぁ」

「そんなんできひんっ…」

「みるきー
この世に絶対なんかない
けど、絶対に近づけたいねん俺
アメリカで学んだこと
無駄じゃないと思ってる
彩を助ける
みるきーと彩と赤ちゃんと
3人…いや、もっとたくさんでもええ
二人が幸せな家族になるとこ
見せてくれ」

「…まーちゅん」

「ごめんな…俺の勝手で
そんな書類に…」

「書く」

「え?」

「…小笠原先生」

「みるきー…?」

みるきーは
涙を拭って
椅子から立ち上がり
深々と頭を下げた

「彩を…旦那をお願いします
助けてあげてくださいっ!!!」

ホンマに大きくなったんや
みるきーも昔は彩が手術や
集中治療室やいう度
彩を返せだの言うて泣いてたのに
大きくなったんや…二人とも

「任せてください
山本さん」



「じゃあまた明日
今日は彩の隣で寝たって」

「うん、そうする
おやすみ、まーちゅん」

「おぉ


…ふぅ」

コーヒーを少し飲んで
パソコンと向き合う
明日の手術のこと
何度も何度も確認する
もしものことを想定し続ける
このときならこう
こうなったらこう
けど…もし、こうなったら…

パンッ!!!

「うわっ!!!!
りぃちゃん?」

「ハハハッびっくりしたー?」

「めっちゃしたわ
何してんの…」

「…ん?
まーちゅんがどうせ
無理してんねんやろーなって」?

「今日、当直ちゃうやろ?」

「変わってもらった
どうせ寝られへんし」

「…」

「それに…一人で強がってると思ったし」

「強がる?なんのこ…」

「手震えてる
大丈夫やで
まーちゅん」

そう言って俺の手を掴むりぃちゃん

「私置いてまで
アメリカに行って頑張ったんやろ?
大丈夫、彩は助かる
まーちゅんが助ける」

「っ…俺にできるかな」

「できるよ
まーちゅん」

「…ありがとうりぃちゃん」

「お礼は新しい服がいいなぁ」

「ハハハッそれ目当てかぁー」

「まーちゅん」

「んー?…ンッ///」

「…サービス///
おやすみ」

「…プッ
顔真っ赤やったし
けど、がんばれそうや」