病院についたら
敦子さんが部屋にいた
美優紀は寝ていて
二人にしてくれた
美優紀…

少し前もこうやった
目を覚まさない美優紀が
怖くて、一人になりそうで
ただ目を覚まして欲しい
それだけを思ってた
せっかく目を覚ましたのに
私は記憶を失った美優紀を
突き放した
何が幸せにや
苦しめただけやないか
当たり前や目が覚めたら
目の前のやつが誰かわからへんくて
そいつが辛そうな顔してる
自分のせいで出ていった
そんなん辛いだけや
わたしは美優紀のことを考えてるふりして
ただ自分を守ってただけやった

「…先輩?」

「目覚めたか」

「はい…」

「あのさ」

「何ですか?」

「悪かった避けたりして
ホンマは…嫌いなんかとちゃうねん
その…あの…」

「言ってください」

「…付き合っててん」

「え…?」

「キモいと思うけど
付き合ってた
私、昔いろいろあって
心開かれんくて
それを開けてくれたんは美優紀やった
そっから惹かれて
美優紀は私の支えで
事故も私をかばって
トラックにひかれてん」

「…」

「言いたかってんけど
でも…そのいわれへんかった
美優紀をちゃんとしたっていうか
女としての幸せ掴ませたかったから
身を引いたつもりやってんけど
全部自分のためやってん
美優紀を見たら
私抑えられへんから…だから
…ふぅ
ごめんな?傷つけたこと
こんな怪我負わしたこと」

美優紀は少し考えて
私を見て微笑んだ

「よかった」

「え?」

「私の中で思い出される先輩は
すごい幸せそうに私を見てくれてて
とても嫌いやって思わなかった
私先輩に嫌いやって言われて
すごい辛かったんです
嫌われたくなかった…
だから、良かったです」

「美優紀…」

「私の方こそ
忘れちゃってごめんなさい
辛かったですよね…」

あ…

(辛かったやんな?)
(私がおるよ)
(一人にせぇへん)

美優紀…

ガバッ…ギューッ

「先輩…?」

「ごめん…今だけ
今だけ許してくれ」

きっとこれから
知らない美優紀の中から
大好きな美優紀を探すんや
その度に辛くなると思う
けど、美優紀は美優紀や
たとえ忘れたって
人が変わったって
好きなもんは好きや
惚れたもん負け
惚れた弱み
うまく言ったもんや
確かにそうや
美優紀が好きで仕方ない
美優紀がおらへん隣は
ただ寒くて仕方ない
どんな美優紀でも隣にいたい
美優紀が好きなんや

「先輩…」

「ん?」

「思い出しますから
絶対思い出しますから」

「…無理せんでええ
いくらでも待つ
今の美優紀は前の美優紀じゃない
新しい美優紀や
だから無理に思い出さへんでええ
新しい美優紀として
スタートしてぇや
他の人を好きになったらええ
自分の好きなことしたらええ
アンタが何をしても
私は味方や
アンタの姉や…だから
安心し…?」

「…うん」

美優紀…私は
アンタの姉として生きるよ
けど…でもいつか
もし思い出すことがあったら
私の胸の中へ帰ってきて