「イチッ…ニイッ…」

浜辺で素振りする彩
私、いいたいのに
気づいてや
彩に言わへんとアカンのに…

「美優紀そろそろ帰るか
オトン待ってるわ」

「うんそうやなぁ」

私は彩のお父さんのカフェで
バイトしてる
彩はバイトしてる間
コーヒー飲みながら
勉強したり新聞読んだり
…おっさんか

これにも理由があって
前に私のこと好きやっていう人から
色々されたから
ボディガードとして…

(美優紀ちゃん可愛いなぁ)

「ありがとー」

(でも寂しいわぁ
美優紀ちゃん





東京行くんやろ?)

…予想はしてた
こんな小さい町やと
すぐに噂は広がる
でも嫌やった
彩には自分で言いたかった…
彩の方を見たら
私の言葉待ってるみたいやった

「…そうやで
明後日行くねんっ」

(急やなぁ
テレビ絶対見るから
頑張りや?)

「うんありがとう」

私の心は乱れた
彩…


バイトが終わって
気を利かしてくれたおじさんが
彩と二人にしてくれた
彩は新聞を顔にかけてた
拗ねてるんやろうな
なんも言わんかったから

「彩…」

「…」

「私…東京に行くねん
…ごめん言われへんかった」

「…」

なんも言わへんから
思いっきり新聞取った
彩…哀しそう

「お前が受かるんや
芸能界なんか甘いもんやな」

「そうやな…」

「散々面倒見たったのに
俺になんも言わへんのか」

「ごめん…」

「…」

ここにいられへん
彩に求めてしまう
「行かんといて」って言葉
彩は言わへん
行ったら私が行かへんの知ってるから

「じゃあ私は部屋に…キャッ!!」

ギューッ!

「彩…?」

「明日の朝迎えに行くから」

「え?」

「明日がここにおるの最後なんやろ?」

「うん…」

「思い出作ろ
二人の思い出」

「うん」

「最後になるからきっと
だから美優紀が行きたいって言うとこ
連れていったるから
二人で行こ」

「ありがとう彩」

「ええよ」

「なぁ彩」

「ん?」

「彩の帽子貰ってええ?」

「野球帽か?」

「うん
お守り」

「そんなんでええん?」

「だって彩とおるときは
ほとんどこの帽子がおってんで?
十分や」

「そうか
んじゃ、はい」

「ありがと…」

「…っ///
そ、それ
今日めっちゃ汗かいたから
くさいで!」

「えぇー!最悪っ!」

「…ハハハッ
ほら、部屋戻ろ
おばさん心配するからさ」

「そうやな」

「じゃあまた明日」

「明日…」

体が熱い
彩に触れられたところ
全部が熱を持ってる
抱きしめられるなんて思わへんかった
その間ずっと思った
時が止まればええのに
彩の腕の中でずっといたい
夢も…彩も
同時に叶えばええのに
そしたら私



幸せやのに