それからしばらく経って
あのとき来た警官
高橋南が私の父親になった
毎日のように家にきて
お母さんを支えたから
お母さんも心を許したみたいで

「よし、彩遊びにいくぞー 」

「…」

けど私は心を開けなかった
この人も私にしつけやって言う
叩く、蹴る
信じたらアカン

学校帰り
歩いていると

(ひったくりー!!)

「え?うわっ!!」

「待てーー!!!」

高橋南…?

カバンを持って逃げる
ひったくり犯を
追いかけていた
そして追いついて
腕を絞めあげた

「カッコイイ…」

この人は違う
守ってくれる人だ
お母さんを私を守ってくれる
その日をから少しずつ
心を開いた



「彩、遊びにいくぞー」

「うん!」

「いってきまーす」

父さんは
色んなところに連れていってくれた
少しずつ父さんのこと好きになった

「彩ぁ」

「なに?」

「お母さんのこと
分かってあげような」

「え?」

「彩やってホンマに大好きな人が
突然消えたら嫌やろ?
お母さんも怖かってん」

「…うん」

「ええ子やな彩は」

「…ヘヘヘッ」

「帰ろっか」

少し心が軽くなった
帰ったらお母さんに謝ろう
そして好きやって言おう

「ただいまー!
あれ?お母さんは?」

「んー?お出かけかなぁ?」

「んー?何やこの紙」


ごめん
他に好きな人ができました
彩のことよろしく


「え…?」

「彩どうしてん
…アイツ」

父さんは今までに見たことのない
怖い顔をしてた
わかるで父さん
私捨てられたんやろ?
気づいてた認めたくなかってん
お母さんが私を愛してないこと
私を守ってる自分が好きなこと
いくら暴力を振るわれても
お父さんの方が好きなこと
わかってたのに

「彩…」

父さんは何も言わずに抱きしめた
ごめんな父さん
優しい父さんやから
きっと私のこと施設に預けたり
せーへんやろうな
預けてもええんやで?
所詮私は血の繋がりもない
ただの子供やねんからさ

「彩…ごめんな」

なんで謝るん?
ホンマ大人ってなんなんやろ
この優しさは本物?
それとも偽物?
分からないよ

「お母さんに会わしたるから
だからいい子で待っててな?」

真剣な父さんの目
いい子にしたら帰ってくるん?
じゃあ私は悪い子やってんな
そうやんなお父さんのこと
刺したもんな

ズキッ

お腹の傷は治ったのに
なんで痛むんやろ…

私はその痛みに耐えながら
ずっと過ごした