彩ちゃんは
昨日から部屋に閉じこもったままやった
何してるんやろ
一人になってるんかな…
私一人にせぇへんって言うたのに
言うたのに…彩ちゃんっ…

「行かへんと
好きやもん」

私は意をけして
彩ちゃんの部屋の扉を開けた
鍵がかかってるとおもったけど
すんなり空いて
もしかしたら彩ちゃん
私のこと待っててくれたんかな

「彩ちゃ…ッ!?」

部屋を開けたら驚いた
いつも綺麗に片付いてた部屋が
ぐちゃぐちゃで
真っ暗中に白い煙が立ってた
灰皿はタバコで溢れてて
もう置く場所がないほど積み上がってた
彩ちゃんは
音の出てないテレビを
ボーッと眺めながらタバコを吸ってた

「彩ちゃん」

「…」

何でやろ今すぐ抱きしめたいのに
これ以上行かれへん

「彩ちゃん…」

「…お母さん?」

「えっ…?」

彩ちゃんの目は
涙で溢れてて
その表情は
悲しみなのか怒りなのか
よく分からへんかった
でもひとつわかったんは
彩ちゃんは私を認識してないこと

「彩ちゃんっ!」

「出てってよ
捨てたくせに
どうせ私は一人や
どれだけ一人が嫌でも
一人が好きにならへんとアカンかった」

嫌や
こんな彩ちゃん嫌や
私が好きな彩ちゃんは
冷たくて意地悪やけど
でもどこか優しくて
目は輝いてて
笑ってくれる彩ちゃんや!

ギューーッ

彩ちゃんを抱きしめる
彩ちゃんの匂いなんかせんくて
タバコの黒々とした匂い
闇が彩ちゃんを覆い被さってるみたい

「彩ちゃんごめんな…
もう一人にせぇへんから…
私のこと分かる?
彩ちゃん…」

「…」

「彩ちゃん…好き大好き
笑って彩ちゃん」

「美優紀…」

彩ちゃんはやっと
私のことを認識した
その瞬間目に溜まっていた涙は
一斉にこぼれ落ちた

「…最悪やな
かっこわる…」

「そんなことない」

「…なんで泣いてるんやろな
わからへんわ」

「そういうときあるから大丈夫」

チュッって優しく頬にキス
そしたら彩ちゃんは
私の頬を掴んで
そのまま口を合わした
強引に舌が入ってきて
彩ちゃんからはタバコの味しかせん
ごめんな彩ちゃん…

「美優紀」

「ん?」

「…ふぅ決めた」

「何を?」

「…私の、想いを聞いて?
私の出来事を聞いて?」

「ええん?」

「聞いて欲しい
美優紀には全部わかって欲しい」

「うん」

「えっと…その…私は
あ、れ?おかしいな
怖いことなんか何もあらへんのに…」

彩ちゃんの手が震えだした
彩ちゃんの過去は壮絶なものってことは
わかってた
だから簡単にはなされへんことも
でもいつか聞けたらええなって
それも含めて彩ちゃんを好きって
言いたかったから
今その時が来た
彩ちゃんは必死に私に伝えようとしてる
じゃあ私は

「彩ちゃん…大丈夫」

彩ちゃんの手をつないで
支えるだけやんな?