「いってきまーす!」

(いってらっしゃーい!)

私、渡辺美優紀は
高校一年生
憧れの難波女学院に入学できた
難波女学院はこの辺りで有名な高校
どの部活もすごい成績やし
通ってる人達も美人ばっかりで
下校の時間は男子校の生徒が
待ち伏せするくらい

「おはよーっ」

「おはよみるきーっ」

この子は朱里
有名な吉田財閥のお嬢様

「みるきー遅刻やん」

この綺麗な子は
けいっち
朱里の彼女
皆には内緒やけどね
女子高やとこういうのは普通で
別に偏見もない
私も差別とかはせーへんけど
付き合うのは男の子がいいなぁーって
思う

「あ、みるきーこっち寄っとき」

「え?うわっ」

大群が来て
一気に道を埋めた

「なにこれっ」

「ほら、アレやん」

朱里の指差す方を見たら
納得する人物がいた

「山本彩…先輩」

山本彩
一個上の先輩
成績はいつもトップで
スポーツも万能
女子サッカー部のエース
ギターも弾けるし
顔もすごい綺麗
そして何よりクール
男の子にも女の子にもモテてる
でも付き合ったりはせーへんって

「今日もすごいなぁー」

「もはやアイドルやん」

「確かにカッコイイもんなぁ」

確かにかっこいいと思う
でも私は前に見てしまった
先輩が告白されるとこ

(先輩好きです…付き合ってください)
(で?)
(え?)
(それだけ?)
(それだけって…)
(私と付き合ってどうしたいん?)
(えっと…)
(デートしてキスしてエッチして?)
(それは…///)
(悪いけどアンタに興味ないから)
(っ…)


あんなふうに言わんでもええのに
それから私は
先輩のことが苦手になった

「じゃあねみるきー」

「うんバイバイー」

学校が終わって
家に帰る途中
グラウンドを見ると
山本先輩が練習してた
つまらなそうに無表情に
サッカーしてた
楽しくないなら辞めたらええのに
よくわからへん人

「ただいまー」

「美優紀おかえりっ
ほら、行くで」

「うん」

ママはもうすぐ再婚する
私のパパは私が生まれて
すぐ死んじゃって
ママは女手一つで育ててくれた
けどママも好きな人ができて
今日新しくパパになる人と顔合わせ
緊張するけど
ママの好きになった人やし
これから一緒に住むから


ピンポーン
「待ってたで
あぁはじめまして
美優紀ちゃんやね」

「はい、お願いします」

「ハハッよろしく
上がって
今料理作ってん」

優しそうな人
ママも幸せそうやし
私のことを考えてか
料理も洋食増やしてくれてて
うんええお父さんや

「食事会始めたいんやけど…
うちの娘帰ってきてへんくてな
もーすぐのはずなんやけど」

「娘?」

「美優紀のお姉ちゃんに
なる人やで
難波女学院の2年生」

「先輩かぁ」

「ちょっと話しづらいかも
しれへんけど
ええこやから仲良くしてあげてな」

ガチャッ

「帰ってきた
紹介するな
娘の…


彩」

「え…?」

ハッとした
そこには山本彩がいたから
今日から…この人がお姉ちゃんに
なるん!?