自分を変えるということ | 木下英範のブログ

自分を変えるということ

自分より優秀な人や尊敬できる人が現れたとき、あの人のようになりたい、「自分を変えたい」と誰しも思ったことがあるでしょう。他人が自分の思うように動いてくれない、環境が思い通りにならないと感じるとき、そんなとき多くの本や識者は、環境は変えられない、「自分が変わらなければならない」と言います。


それは正しいことです。しかし自分を変えるということ、それもまた難しいことですよね。何度も自分を変えようとして挫折した思い出があるでしょう。


それは自分の「軸」を変えようとしているからです。自分の軸は変えられないのです。根本的には自分というのは変えることができないのです。それを変えようとするから苦しい。


たとえば、Aさんのようになりたい、Bさんのようになりたい、と思ったとします。このとき、自分を捨てて、自分の「軸」を移動させて自分を変えようとすると大変に苦しい思いをします。


木下英範のブログ-他人になるのは難しい


例外として心に大きなショックを受けたときには、本当に性格から変わる可能性もあります。大きな病気や臨死体験、不幸な事故などによって。逆に考えると、自分の軸を変えるということはそれほど心に負担をかけないと実現しないということなのです。


ところが「自分を変えずに」自分を変える方法があります。自分の「軸を太く」すればいいのです。


自分の軸を太くして全部取り込んでしまえばいいのです。大切なのはこのとき自分の中心は動いていないということです。自分を保ったまま、他人の良いところを取り入れることはできるはずです。


木下英範のブログ-自分の軸を太くして取り込めばいい


心の成長についても同じ事が言えます。多くの方は子供と大人は別物と思っているのではないでしょうか。子供から大人になるにつれて人格が変わっていくと。それは実は違うのです。誰しもが子供の心を持ったまま大人になるのです。幼かった頃の心を内包したまま、まるで年輪のように大人の心を外郭に重ねていくのです。


それは自分の心をよく観察すればわかるでしょう。今でも時折子供の頃の気持ちが顔を出すでしょう。根本的な価値観って子供の頃のままではないでしょうか?


退行催眠を使って大人の外郭を外していくと、子供の頃の感情も、記憶も、すべてよみがえるといいます。「三つ子の魂百まで」なんて言いますが、小さかった頃の自分は今でもそっくりそのまま、そこにいるのです。


心だけではありません。人間の肉体的な発生においても、受精卵から胎児に至る過程で、両生類~爬虫類~鳥類の特徴が順番に現れ、哺乳類の進化の歴史をたどるといわれています。


生命全体を見てもそうです。単細胞生物はまだ生きています。そして細胞の働きは単細胞生物も我々の細胞も同じなのです。生命は過去を捨ててはいないのです。昔を捨てるのではなくて、昔を保ったまま、過去をその中に抱きながら機能を拡張してきたのです。


そうです。これはフラクタルの原理です。これはこの世界に普遍的に現れる物理法則です。すべてはこの土台の上に乗っているのです。


少々話が遠くへ来てしまいましたが、はじめに戻ると、今の自分を捨てて、自分を変えるのではなくて、「今の自分を内包したまま、自分を広げる」のです。そのほうがずっと楽に自分を変えることができるでしょう。