稼ぐと同じくらい「消費」は大事
お金を稼ぐことと同じくらい消費も重要だ。大きな意味で投資と消費の区別はない。すべての投資は消費と言えるし、すべての消費は投資と言える。
お金は投票権だ。お金を使うとは、自分の支持する製品や事業に投票するということだ。するとその事業分野はさらに発展して、潤いをもたらしてくれるだろう。これは社会をコントロールすることに他ならない。
消費者庁が本当に意味があるとしたら、それは消費者の保護ではなくて、消費を持ってして個人がいかに世の中をコントロールできるのか、消費というのがどういう意味を持っているかを教育し、それぞれが正しい消費先を選べるように地盤を整えたり、情報を引き出しやすくするためでなければいけない。
現代のように十分に発展した社会において、最もパワフルに社会を変革し得るのは、政治でも選挙でもない。それは経済であり、技術の発展だ。それはとりもなおさず消費に直結している。選挙権は20歳からしか持てないが、消費権は物心ついたときから行使できる。このパワーをしっかりと認識しなければならない。
その製品やサービスを消費しないことを選べば、その企業は消えていくだろう。消費というのは企業や技術の淘汰の原動力だ。消費はまた諸刃の剣だ。間違った使い方をすれば世の中の発展が遅れたり、邪悪な企業をはこびらせることにもなる。
一方、企業の立場に立てば、消費者の要求を先読みして対応する必要がある。消費者の歩む3m先に絨毯を敷いていくように。絨毯の方向を決めるのは企業だが、その道を歩むかどうかは消費者が決める。企業は常に、消費者の声による改善圧力と、不買による退出圧力にさらされている。
消費を抑制する意味での貯金や節約というのはえらくもなんともない。自分の価値観にあった正しい消費先を選べば、その製品は進化し、より高性能な物がより安く買えるようになる。これが本当の節約だ。間違った消費を浪費というのであり、正しい消費は浪費ではない。
「正しい」の定義は人それぞれ違うし、いろいろな見方があるが、自分が払ったお金がどういう経路をたどり、社会にどう寄与するか、想像力を豊かにしなければならない。
一人一人が社会を変革するパワーを持っているのだから。