日本は中国のサーバントリーダー的立場を取るべき | 木下英範のブログ

日本は中国のサーバントリーダー的立場を取るべき

中国が世界一になるのはもう避けようのない事実でしょうね。完全に中国のターンでしょう。だってあれだけの人数がいて、そのほとんどがまだ貧しい=ハングリー精神を持っているのだから。日本のようにすべての人が豊かになると成長は止まります。自分より上の者がいなくなるため、成長を想像できなくなるからです。しかし中国人全員が豊かになるためには相当な時間がかかる。とてつもない伸びしろがあるわけです。これは未だかつて無いパワーです。まともに戦って勝てるわけがない。


日本はこれからは中国の発展のお手伝いをすべきなのです。つまりサーバントリーダー的立場を取るのです。これは別に中国の属国になるとか、長いものに巻かれろという立場ではない。非常に戦略的な考えなのです。


これだけフラット化した社会では、世界のどこかで技術発展が起るとそれがたちどころに世界中に浸透する。iPhoneの例を見ればわかります。アメリカで発明されたこれほど高度な技術製品が時を待たずして日本で買える。しかも4万ちょっとという破格の値段で。世界の局所的な豊かさがすぐに世界中に伝搬する時代になったのです。もはや「競争」より「共創」の時代なのです。


今や、中国や台湾製のPCは1万円くらいで買えるようになってきました。インドでは20万で買える新車を創っている。今後まだまだ安くていい製品が出てくるでしょう。そして将来は100円で買えるPCが出てくる。それが日本でも世界のどこでも買えるのです。これが豊かと言わずして何と言うでしょう?


iPhoneの爆発的ヒットで確かにAppleは儲かったでしょう。しかし世界中の人々がそれを使うことによって得られた体験や利益は、Appleの儲けよりもはるかに莫大なわけです。


つまり、直接利益(製品を販売して得る利益)よりも、間接利益(世界が豊かになることによって返ってくる便益)の方がはるかに強大なのです。


世界中のイノベーター達を応援すべきです。ライバル心は持っていても決して足を引っ張るようなことをしてはいけない。モチベーションが高くてやる気のある人には思いっきり働いてもらいましょう。それが今は中国やインドなのです。彼らが気持ちよく働ける環境を整備してあげましょう。技術はどんどん教えてあげましょう。


技術を教えるって安全保障はどうするの?そのうち中国が戦争をしかけてくるんじゃないの?いやいや、技術を教えてくれた人を、仕事を手伝ってくれた人をどうして攻撃したいと思うでしょう?それに日本の技術で作った兵器ならば、よその国の技術やオリジナルの技術で作った兵器よりも御しやすいでしょう。つまり日本としてこの戦略をとることが最も安全保障上も有利なのです。そもそも、このまま行けばNo1が見えている中国が戦争をして得をすることがあるでしょうか?


世界を変え、便利に豊かにしていくのはアイデアであり、技術の発展です。そしてそれを形にするのがイノベーションです。そしてそれは世界各地にすぐに広がり、「全体の景色を」ガラっと変えるものです。それが真のイノベーションです。


そう考えるならば、仮に日本が中国の衛星国家になったとしても問題ないでしょう。日本に居続ける必要もないでしょう。世界のどこでどう暮らしてもいいのです。でも世界中のどこでどう暮らしてもあまり変わらないと思いますが。


さらに言えば、もう「国家」という枠組みは昔ほど重要ではない。自分と世界。自分が世界にどういう価値を提供できて、そしてそれを実行すれば世界から、自分とみんなにどういう豊かさが返ってくるのか。それを考えていく。そういう時代だと思います。