ノーベル物理学賞日本人3氏
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200810070030.html
ストックホルム──スウェーデン王立科学アカデミーは7日、今年のノーベル物理学賞を、南部陽一郎、小林誠、益川敏英の3氏に授与すると発表した。ノーベル賞のひとつの分野で、日本人が共同受賞するのは初めて。
(CNN)
受賞理由は「素粒子の対象性の破れ」の研究です。素粒子の対象性の破れとは、現在の宇宙に(反物質に比べて)物質がわずかに多い理由を説明するものです。ビッグバンにより、粒子と反粒子が同じ数だけできて、粒子は目に見える物質となりました。ところが粒子と反粒子が再び合わさると消滅して真空に戻るので、やがて宇宙には物質がなくなるはずです。
しかし現在も物質は残っています。粒子が残っているのはなぜか。それは対称性が破れているからで、第1世代クォーク(アップ、ダウン)、第2世代クォーク(チャーム、ストレンジ)、それに第3世代目のクォーク(トップ、ボトム)を加えると対にねじれが生じ、完全に対称にはならない、つまり、対消滅せずに残ってしまうとのことです。
小林・益川理論については、KEK
(高エネルギー加速器研究機構)のページに非常にわかりやすく説明されています。
→ 世界を変えた一つの論文
http://www.kek.jp/newskek/2003/mayjun/km.html
→ 深まるCP対称性の破れ
http://www.kek.jp/newskek/2003/janfeb/belle-cp2.html
受賞の元になった論文は1973年に発表されたとありますから今から35年前です。小林氏は28歳、益川氏は33歳のときだそうです。第2世代のもう一つのクォークであるチャームも見つかっていないときに対象性の破れの理論を確立し、第三世代のクォークを予言。その後やっと技術が追いつき、最近になって加速器で実際に発見されたのです。しかもすべて予言通りに完全一致してしまうのですから本当にすごいことです。