「人間」という言葉
「人」とは単体のヒトを指す、「人間」とは人々全体のことを指す。人は他人がいなければ個人を規定できない。他者とのかかわりの中で個人の境界線が生まれる。他者がいてくれるから自分の存在を感じることができるのである。
人は他人と憎みあったり愛し合ったりする。些細なことで喧嘩をしてそのまま疎遠になってしまう者もいる。小さな頃から気が合って死ぬまでずっとそばにいる者もいる。その中の一人を取ってみても、仲のいいときもあれば喧嘩をするときもある。
人間は他者との境界線を互いに埋めて、ジグソーパズルのようにぴったりとはまっている。その凸凹があとで振り返ったとき、人生という形になって見えるのだろう。
些細なことでカッとなって、関係を壊してしまうのも人間である。しかしそれを修復できるのも人間の能力である。生きていく中でこの境界線をどう形作っていくか。それは自分次第である。
まさに「人間」という言葉は人と人の間に本質があるという意味だと思う。誰が考えたのか知らないが、よく考えられた深い言葉である。