価値が生まれるのはいつ?
国内総生産(GDP)の定義は「国内で生産された付加価値の合計」です。では、付加価値とはなんでしょうか?会計で一般的にいう付加価値とは「付加価値=売上高-外部購入費用」です。外部から仕入れた値段と売値との差額です。つまり、原材料を仕入れて、それになんらかの加工(付加価値)を施し、製品を作り、原材料よりも高い価格で売る。これが企業の利益の源泉であり、その合計が GDPというわけです。買い手は原材料よりも製品に何らかの価値があると思うからこそ、原材料よりも高い価格で買うのです。
製造業では、付加価値の生み出される作業を重要視します。一般的な経営学や、生産方式で学んだのは、付加価値とは物を作っているときだけ生まれるというものです。ですから、製造している以外のことをしているとき、(運搬したり、加工待ちしているとき)のムダは極力避けるべきであるということです。
また、ヘッジファンドや、銀行などの「虚業」はなんら価値を生んでいないじゃないか、という議論も聞かれます。
しかしファンドであれ、製造業であれ、本質は同じだと思うのです。本当に価値が生まれる瞬間はいつかということです。つまり、製造業であっても作った製品が売れなければそれは不良在庫といって、社会に価値を提供したことにはならない。また売れたとしても、それを使って買った人が不便を蒙ったのであれば、価値を作るどころかマイナスです。
本当に価値が生まれる瞬間というのは、買い手がそのサービスを使って喜んだときだと思います。その製品・サービスの恩恵を受けて、目的を達成できた、不便を解消できた、楽しかった。その瞬間に価値は生まれているのです。そう考えなくてはいけないと思うのです。その瞬間に(たとえ1mmでも)日本が少しよくなっているのです。世界がよくなっているのです。