私は毎朝、会社でインスタントコーヒーを飲んでいる。
今日に限って缶コーヒーを飲みたくなった。
缶コーヒーを買おうと100円玉1枚を自販機に投入した。
ところが、
『♪カランカラン・・・・・』
100円玉がつり銭口へ戻る音が・・・
私の投入の仕方が悪いのか?
100円玉が悪いのか?
自販機の機嫌が悪いのか?
『・・・・・ちゃらぁじゃらぁ~ん♪♪♪』
「んっ?」
ちょっと音が変だ。
つり銭口を覗き込む。
「!」指を突っ込み100円玉を取り出す。
投入した100円玉は1枚。
取り出した100円玉は10枚。
900円置き去られていたようだ。
100円玉1枚を再投入しコーヒーを購入。
それを一気に飲み干す。
なぜかコーヒーの味がまったくわからない。
100円玉9枚握り締めた私の左手は、
静かにズボンの左ポケットの中へ・・・
しかし、
「おぉ~い、今、誰か自販機利用したぁ~?」
私は仲間達に大きな声をかけていた。
私の心身は、とても不安定な状態だ。
「**ちゃんだよ~たった今出かけちゃったよぉ~。」
駐車場を見ると、**ちゃんが乗った車が動き出している。
追いかけた、必死に追いかけた。
100円玉9枚握り締めた私の左手は、
ズボンの左ポケットから飛び出し、
前後に力強く振られている。
「だめだぁ~追いつけない。」
そりゃあそうだ、駆け足で車に追いつけるはずが無い。
100円玉9枚握り締めた左手を見つめ、
半分笑みがこぼれる自分に気がつく。
その時、交差点の信号が赤に。
・・・・・!
自販機に置き去られたつり銭の100円玉9枚は、
無事に**ちゃんのもとへ。
**ちゃんは、めちゃくちゃ喜んでいた。
私は、当然のことをしただけだ。
風がとても気持ちよかった。