ガラパゴス携帯 | 和歌山のシステム開発のことなら株式会社システムキューブ

ガラパゴス携帯

日本メーカー製の携帯電話は、時にガラパゴスケータイ、あるいはガラケーと呼ばれることもあります。

ガラパゴスと呼ばれる理由として、ガラパゴス諸島のように、島の中だけ他の世界の生態系とは独立して、独自の進化を遂げた様から来ているようです。

日本製携帯に対する蔑称としても用いられることが多いガラパゴス携帯ですが、世界の携帯、あるいはスマートフォンと比較してどう違うのか、どう独自的なのか、ということを考えてみたいと思います。

まず一つはシェアです。日本の携帯メーカー(NECやPanasonicや東芝など)を合計しても、世界市場の中で一割に満たないシェアしか持ちません。
携帯電話大手、ノキア、サムスンなどは全世界市場の中で3~2割以上のシェアを単体で持っています。

日本国内ではどう頑張っても数千万台のマーケットですが、世界市場を相手にするならば、ユーザー数が億を超える市場が待っています。
同じ開発費をかけるのであれば、たくさん売れたほうが、当然利益になります。日本製携帯ももっと大きな市場を狙っていけばいいのではないでしょうか?

それを阻むのは日本携帯の独自性です。あるいは世界基準との差、というべきでしょうか。

たとえば、DOCOMOからノキアは撤退しています。そのノキアがDOCOMO向け携帯として最後に出した機種が下記URLにあるNM706iです。

http://www.nttdocomo.co.jp/support/utilization/product/nm706i/index.html

「主な対応サービス・機能」のところをご覧いただけばわかるように、DOCOMOの他の端末に当然付いているような機能はなく、ほとんどが使用不可となっています。

たとえば、着うた、GPS、おサイフケータイ、ワンセグ、デコメ、これらの機能はこの機種では使えません。かろうじてiModeとiModeメールが使用できますが、画面の解像度は少なく、使いにくいものです。

しかしながら、これが世界標準の携帯電話の機能です。電話、ショートメール、電話帳、これだけの機能があれば、携帯電話としては十分とされています。

それに比べれば日本製携帯は機能が大盛り、特盛りです。その分、携帯電話の端末価格は高価です。どれぐらい高価かといえば、定価ベースでは安価なパソコンが購入できる程度の価格になります。
加えることに、音声通話費、データ通信費が月々必要となってきます。

ですから日本以外の国では固定の通信回線と、安価なパソコンを利用して、インターネットに接続し、持ち運びのできる音声電話として携帯電話を選ぶという形が主になっています。

日本製携帯電話のような機能のありすぎて高価な通信端末は必要とされていませんでした。
そこに登場したのがスマートフォン。BlackberryやiPhone、Androidです。
日本製携帯電話の高機能性を知っている人にとっては、いったいどこが目新しいのか分からないぐらいの性能です。

たとえば、iPhone3G、3GSの画面解像度は480x320ピクセルと、日本製携帯電話に比べればはるかに低いものでした。国産ではWVGA(800x480)の高解像度を持つ携帯も普通に存在しました。

スマートフォンと呼ばれるものが、この程度の表示解像度で、十分な情報を表示できるのだろうか。そう思われた方も少なからずいるはずです。

しかし、ほぼ通話単機能の携帯電話を持っている世界の人にとっては、驚くべき高性能でした。
パソコンを使ってしかできないようなことが、何もかもiPhoneでできてしまう。しかも各通信キャリアの販売奨励金(インセンティブ)をつかって、かなり買い求めやすい価格での発売となりました。

世界中でスマートフォンはブームとなりました。日本国内ではスマートフォンと呼ばれる端末よりも高性能な携帯電話を持っている人も少なくなかったため、大きなうねりが起こるまではかなりの時間を要しました。

そんななかで生まれた言葉がガラパゴス携帯なのです。

日本の通信事業者は利用者を囲い込み、追加的な情報に対する課金を行うシステムをそれぞれが持っています。
iPhoneのように、携帯電話メーカーが好き放題集金するシステムを持つものは、受け入れがたい土台がありました。
そのため、iPhoneは最も後発でコンテンツ課金よりも契約者増加数がほしいソフトバンクから発売されることになりました。

今後、すくなくとも日本国内で、国産携帯の普及率をスマートフォンが覆してしまうことはないでしょう。
ただ国内でもAndroidを採用して、国際市場に向けて参入の意思を示すメーカーが徐々に増えてきています。

ひたすら高性能を目指してきた国産携帯が今後世界市場に出回ることになるのか、国産携帯並みの高性能を備えたスマートフォンが国内市場を侵食していくことになるのか。

携帯電話をめぐるビジネスは今後もめまぐるしく変化していくことになるはずです。