日本ではソフトバンクモバイルと日本デジコムが取り扱うスラーヤ衛星電話。9月にソフトバンクが発売開始したその最新モデルは、なんとiPhone 5に装着し通話用ハンドセットをiPhoneで代用するという衛星電話アダプターなのである。ソフトバンクでの製品名はSoftBank 202TH。製品発表以来、このモデルが気になって仕方なかったのだが、たまたまこの製品をお借りして試用する機会を得たので、ここでご紹介したい。
スラーヤ(THURAYA)とは、アラブ首長国連邦のThuraya Satellite Telecommunicationsが提供している衛星電話サービスである。衛星電話サービスというと、日本ではNTTドコモが提供する日本国内専用の衛星電話サービス「ワイドスター」(サービスの新規受付は終了)や、KDDIが取り扱うインマルサット、イリジウムなどが知られている。もともとスラーヤは日本では運用されていなかったが、東日本大震災の被災地支援で臨時運用が認められ、小型軽量であることや接続性の良さが評判を呼んだ。これを受けて2012年12月にはソフトバンクモバイルと日本デジコムが日本国内の包括免許を取得、日本国内でのスラーヤ衛星電話サービスの取り扱いを開始した。
ここでご紹介するiPhone 5に装着して使用するTH202は、もともと世界ではSatsleeveという端末名で販売されていたが、いよいよ2013年9月よりソフトバンクモバイルが取り扱いを開始し日本でも入手できるようになった。専用アプリも完全に日本語対応しており、日本のユーザーが安心して使用できる。衛星電話サービスであるので、空さえ見渡せれば携帯電話の電波が届かない場所でも通話が可能である。通信速度が下り最大60kbpsではあるがパケット通信も可能で、これまで携帯電話が使えなかった山岳地帯や海上からも、ツイッターやLINEでコミュニケーションができる。衛星電話アダプターの裏蓋を外すとSIMカードスロットがあり、ここにスラーヤ衛星電話サービス用のSIMカードを装着して使用する。スラーヤには専用の電話番号があり(+88216で始まる13桁の電話番号)、衛星電話アダプターを装着することにより実際には2台の電話端末を持ち歩くような利用イメージとなる。
このTH202を使ってパケット通信する場合はiPhone 5とWiFiで接続して使用する。TH202がモバイルWiFiルータ代わりになるといったほうが分かりやすいかもしれない。ただし通信速度は下り最大60kbps、上り最大15kbpsとなる。この速度だと、テキストベースの通信にとどまる感じだ。それでもツイッターやLINEを地球上どこでも使えてしまうというのは嬉しい。ちなみにパケット通信料は定額料金はなく、2円/キロバイトとなる。それなりの通信料の請求を覚悟する必要がある。
ソフトバンクで契約した場合の基本使用料は、2年の契約を必須とするプランでは月額4,900円、契約期間の制約がないプランでは月額9,800円となる。いずれも無料通信が1,000円付く。また月額2,000円の「衛星通信料割引オプション」を契約すれば、音声通話料は1分40円に、またSMS通信料は1通20円になる。
衛星電話というと、一般消費者には馴染みのないサービスかもしれない。しかし、東日本大震災の際に、輻輳による通信混雑や、通信インフラ自体の損壊によって、通信したくても通じないという不安な体験をされた方も多いはず。このような地上のインフラを使用する携帯電話がつながらない場合でも、通信衛星を使用する衛星電話サービスであれば通話・通信が可能である(加入者が激増したら話は別だが)。かつてのワイドスターやイリジウムなどに比べると、衛星電話の端末価格や通信料は非常にリーズナブルになってきた。一家に一台、万が一のための緊急通信手段として衛星電話を備えておくという家庭も今後出てくるかもしれない。ちなみにTH202のソフトバンクオンラインショップの端末価格は81,600円だ。しかも新スーパーボーナス加入の24回分割にすれば月月割がついて実質負担金0円だ。通常の携帯電話を契約するのとさほど変わらないところまで来た感じだ。iPhoneの外付けバッテリーとしても機能するし、いざとなれば衛星電話として通話ができ、しかもモバイルWiFiルーターにもなる。考えようによっては、これぞ究極のiPhoneジャケットなのかも!
ご参考までに、公式な発表は無いが筆者のiPhone 5sでも動作確認ができた。また、このTH202は衛星無線機部分とiPhone接続部分が2分割する構造になっている。これは将来iPhoneがモデルチェンジした場合に、衛星無線機部分を活かしながら新たなiPhoneを装着できるよう、iPhone取り付け部分のアタッチメントを別構造にしているためだ。
