日本銀行の白川方明総裁は9日午後の定例記者会見で、資産買い入れ等基金における長期国債の買い入れについて「基金の積み上げが困難になっているわけではなく、下限金利の撤廃が必要な状況ではない」と述べた。同買い入れで1日、応札額が買入予定額を下回る札割れが発生したことから、0.1%の下限金利が撤廃されるとの見方が一部に出ていた。
日銀は同日開いた金融政策決定会合で、今回から加わった元モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストの佐藤健裕氏と元野村証券チーフエコノミストの木内登英氏を含め、全員一致で政策の現状維持を決定した。白川総裁は「新しく来られた2人とも、中央銀行の金融政策に責任を有する政策委員としてバランスのとれた意見を述べられ、政策委員会の活発な議論に貢献されていた」と述べた。
主要先進国の長期金利の動向については「低下余地が全くないわけではないが、大きな目で見て、長短金利とも非常に低い水準であることは明らかだ」と述べた。白川総裁は主要先進国の長期金利が低下している背景として「安全資産選好が反映されている」と指摘した上で、そうした動きの巻き戻し現象が起きると、「金融システムに混乱が生じることが起こり得る」と指摘。「主要国の中央銀行はいずれも長期金利の動きについて、景気との関係だけでなく、長い目で見た金融システムの安定との関係も意識しながら、注意深くみている」と述べた。
佐藤氏が先月24日の就任記者会見で言及した外債購入については「目的が円高是正、円安誘導ということだと、これは為替介入になる。日銀が為替レートの誘導を目的として外貨買い入れを行う場合には、政府の代理として行うということが法律にはっきりうたわれている」と指摘。あらためて否定的な見解を示した。
欧州問題深刻化なら世界経済下振れも
白川総裁は足元の景気については「緩やかに持ち直しつつある」としながらも、輸出については「持ち直しの動きが緩やかになっており、生産も足元弱めとなっている」と指摘。先行きについては「緩やかな回復基調に復していく」との見方を繰り返したものの、こうした見方には「さまざまな不確実性が存在している」と述べた。
特に欧州債務問題について「国際金融資本市場では神経質な動きが続いている」と指摘。「この問題がさらに深刻化し、国際金融資本市場の動揺、ひいては世界経済の一段の下振れにつながるリスクについては引き続き最も意識しておくべきだと考えている」と述べた。その上で金融政策について「今後とも資産買い入れ等基金の着実な積み上げを通じて、間断なく金融緩和を進めていく」と述べた。