昨年急激に増加した日本政府の米国債保有はこの数カ月で若干減少した。政府関係者は先ごろ、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで外貨準備高中の米ドル建て証券保有を今後も続ける考えを明らかにした。
中尾武彦財務官は、「米国債は格付け会社大手スタンダード&プアーズ(S&P)から格付けを引き下げられたものの、われわれは安全で魅力的な資産であるとの見方を変えていないし、変えるつもりもない」と述べた。S&Pは昨年8月に、米長期国債の格付けを「AAA」から「AAプラス」に引き下げている。
同財務官は、日本政府としては今後も外貨準備の中でドルを大量保有し続ける方針であることを明らかにしたもので、中国が外貨準備を多様化し、ドルだけでなくその他通貨の保有を増やし始めている中で、日本が信頼できる米国債の引き受け手であり続けることを意味している。
米財務省が15日発表した最新の統計によると、4月末現在の日本の米国債保有高は1兆0660億ドル(約84兆2000億円)で、ピークだった2月の1兆0850億ドルから減少している。ただ、昨年6月末に比べると8810億ドル(20%)上回っている。
中尾氏は、日本政府は外準保有の詳細は明らかにしていないと述べるとともに、米財務省の統計には政府保有だけでなく民間保有も含まれていることを指摘した。
日本の財務省統計では、5月末現在の日本の外準総額は1兆2780億ドルで、中国に次いで世界第2位の規模。同省が昨年11月に発表した報告によると、2011年3月時点で外貨準備の約65%は、諸外国の国債で保有されている。さらに、米国政府機関債や同資産担保証券(ABS)、世界銀行のような国際機関債など外貨建て債が29%を占めている。
昨年には日本の米国債購入は膨らんだが、円相場が過去最高値を付けるなど急騰したため、ドル買いの市場介入を繰り返した結果とみられている。さらに言えば、米国債中心の外準保有は市場介入のため大量の資金を確保しておくとの政府の意向を反映したもので、その意味で米国債のような安全で換金性の高い金融商品でなければならない。
日本が外準の運用先を米国債に集中していることには、米国との軍事的・外交的な関係の維持という非経済的な側面もある。ただ近年には、外準を戦略的に活用する考え方も浮上している。その一環として、政府は日本企業による外国企業の買収支援に利用し始めているほか、財務省は中国や韓国の国債の購入計画も明らかにしている。