国際通貨基金(IMF)は12日、日本政府と日銀によるデフレ対策が一層強化される必要があると表明した。ただ、輸出依存型の日本経済に悪影響を及ぼしている円高を抑制するために政府・日銀が実施する為替介入については、国外で批判も出ているものの、一定の理解を示した。
IMFは2012年の日本政府当局者との対日審査協議を終了した後に声明を発表、日銀が2月に掲げた事実上のインフレ目標1%の達成に向けた措置として、期間が長めの国債や債券・株式といった民間資産を購入するなどが可能であると指摘した。
IMFはまた、欧州の債務危機が継続するとともに世界経済の成長が鈍化するなか、日本経済の見通しが急激に悪化した場合、「金融緩和政策の拡大が望ましい」との見方を示した。
日銀は既に、主に国債を対象にした資産を買い入れる基金を70兆円に拡大するなど、金融政策決定会合の発表文で示されてきた「強力な」金融緩和に着手している。ただ、日銀は依然として、円高の是正と定着しているデフレの脱却に向けた措置を拡大するよう政治的な圧力を強く受けている。日本の債務残高が国内総生産(GDP)の200%超に膨らむ中で、政府が歳出をさらに拡大することは難しい。
IMFは声明の中で、「現在、金融政策を立案および実施していくには難しい環境にあるものの、効果的な金融緩和をさらに実施することは可能と考える」と指摘した。さらに、財政を正常化し、経済成長のための構造改革の着手するよう日本政府に求めた。IMFは「日本の財政的な脆弱(ぜいじゃく)性に対処するには、持続可能な調整策や、長期的な成長を促進する大胆な取り組みが必要」とした。
ただ、その一方で、円高が日本経済に及ぼす悪影響を日本の為替当局者や経済界が懸念していることについては、新たに同情的な見解を示した。
IMFは、世界の投資家が資産の安全な逃避先を求める結果として円高が進んだと指摘、「円は中期的な観点で若干過大評価されている」との分析を明らかにした。今回の協議を指揮したIMFのリプトン筆頭副専務理事はインタビューで、貿易相手国の一部から厳しく批判されている日本の為替介入について理解を示した。
リプトン氏は「市場が無秩序に変動した場合の措置として、スムージングは理解できる」と述べた。
IMFがこのような見解を示したことで、日本が再び為替介入に踏み切れる余地が生じた形だ。対ドルの円相場で戦後最高値が幾度も更新される状況で、日本は2010年9月以来、介入を複数回実施した。円は昨年10月末に最高値を記録してから若干下落している。ただ、日本の金利がほぼゼロにもかわらず、欧州の混乱が「安全資産」としての円買いを誘発し、円高基調は依然として根強い。
米クリントン政権下で財務次官を務めたリプトン氏は、先進国では為替相場を自由に変動させるべきというIMFの長年の見解を改めて表明し、日本も「為替レートをある一定の水準に誘導すべきでない」と強調した。ただ、「現在の市場環境において、(為替相場の)変動が激しいことは理解している」と、例外的に市場介入も手段となることを示唆した。
リプトン氏はまた、邦銀にとっての朗報も明らかにした。日本の国債に対する需要が低下し、利回りが上昇し始めた場合、国債を保有する銀行で大きな評価損が計上されるのではないかという懸念が生じているが、IMFが最近実施したストレステストでは、邦銀には予測しうるショックに耐えるだけの体力があることが示されたという。
「邦銀は堅調であり、米国と欧州の危機もうまく乗り越えてきただけでなく、(今後起こりうる)大きなショックにも十分耐えうるだろう」との見方をリプトン氏は示し、そのショックの一つとして超低水準にある金利の上昇を挙げた。長期金利の代表的な指標である10年物国債の利回りは現在、わずか0.85%だ。邦銀は国債の最大保有者であり、発行済み国債の保有比率は41%に達している。