欧州の経済金融情勢が再び緊迫化している。
欧州連合(EU)は23日開いた非公式首脳会議で、ギリシャに財政再建策の実行とユーロ圏残留を求めたが、
金融市場ではむしろギリシャのユーロ離脱を懸念する声が高まっている。
欧州のリーダーは意見の違いを乗り越え、まず目の前の危機悪化を食い止める策を打ち出すべきだ。
非公式首脳会議は、財政緊縮一辺倒ともいえる姿勢を改め、
公共投資拡充などの成長戦略を6月にまとめることで一致した。
焦点のユーロ共同債については推進派のフランスと慎重派のドイツとの溝が埋まらず、結論を先送りした。
ギリシャに関しては、財政緊縮という支援の前提条件は見直さないことで一致。
6月に再選挙を控えるギリシャに対し、「ユーロ離脱は望まないが、
そのためには緊縮策という約束をしっかりと守る必要がある」(メルケル独首相)とのメッセージを発した形だ。
金融市場でギリシャのユーロ圏離脱懸念が高まっているのは、
首脳会議で効果的な危機対策が打ち出されなかったうえ、
「欧州各国の政策当局者がギリシャのユーロ離脱時の危機対応計画を検討する」と伝えられたためだ。
ユーロ安や株安が進んだほか、スペインなど南欧の国債が売られるなど、リスクを回避する動きが加速している。
状況を放置すると、欧州金融市場が機能不全に陥る恐れもある。
当面の危機回避には欧州中央銀行(ECB)が積極的な資金供給策を取らざるをえないだろう。
昨年末は銀行に長期資金を供給して市場の不安を取り除いた。
ギリシャの離脱懸念が強まっている点では状況はより深刻といえ、今回も不安を抑える役割が求められる。
ただ、ECBの対応は時間稼ぎにしかならない。金融不安の解消には南欧の銀行を中心に大胆な資本増強が不可欠。
そのために欧州金融安定基金(EFSF)の資金などが使えるようにすべきだ。
危機に陥った国への資金支援枠の拡大も再度検討すべきではないか。
ギリシャに対して再選挙を前に甘い姿勢を打ち出せないのは理解できる。
新政権ができた後は財政規律維持を前提に支援を拡大することなども検討対象になる。
ユーロ圏の不安定化は日本経済に大きな打撃になる。
政府は、世界への危機波及を防ぐため、欧州各国が結束して事態を収拾するよう働きかけを強めるべきだ。