セックスレスとはパートナーがいる人についての語だが、現代増えている、パートナーを作れずに
性関係と無縁でいる人の状況も社会で議論するべきだ。

日本では1970年代後半から未婚化が始まり、それと裏表で結婚を前提としない性関係への
許容度が高まっていった。結婚も、性関係も、社会で決められたパターンで行うべき制度ではなくなり 個人の自由に任されるようになってきた。だが自由を担うのは簡単ではない。結婚も、性関係も、本心では望むのに得られない人たちが多く現れている。

現在、30代前半の未婚率は男性47%、女性35%程で、男女ともその約7割の人は性体験がある。 すると30代前半で性体験のない人は男性15%弱、女性約10%と推計され、制度の中で性関係が 持てた時代より男女とも多い。その状態を望んでいない当人も多いだろう。

未婚者の性体験率は、男性の方が長らく高かったが80年代以降男女差が縮まり、ここ10年ほどは 10代では男性よりも女性のほうが体験率が高くなっている。こんな状況では男性は、体験豊富な 女性から、もしうまくできないと軽蔑されるのでは、他の男性と比較されるのではと、心配は小さくないようだ。
それもあって女性を遠ざけているうちに年齢が上がり、年齢に相応(ふさわ)しくなくてはと思うと女性への ハードルもさらに高くなる悪循環。未婚の女性たちは、こういう男性が設定した高いハードルのために 近づいてもらえなくもなる。

日本と同時期に性解放の波を受けた欧米社会の多くでは、男女は10代からパートナーを 求めて積極的に活動し、事実婚と性関係の自由を生かしている。一方、10代の妊娠が増え、それへの社会的サポートの充実が課題だ。性解放の内実が欧米と違った日本では、社会的 サポートも、男女を性的に大人に育てるための別種のものが必要ではないだろうか。
結婚外の性関係がかなり許容されていた前近代日本では、若者は地域の大人たちの念入りな 手ほどきをうけて、性行動に習熟していった。地方や階層の習わしで、親が信頼できる人物に 頼んで、年頃の子の初体験の相手をしてもらうとか、出戻り女性の元に公認で若い男性たちが 教わりに行くとかの体験的教育があった。
現代に相応しい社会的サポートの形は、性被害などを防ぐよう慎重に検討されなければならないが、まずは若者を性的に育てることに社会が真剣になる必要があると思う。