5月1日(ブルームバーグ):日本の20年に及ぶ低迷がなおも続いている理由を知りたければ、
日本銀行への先週の世間の注目ぶりを見れば、その手掛かりが見つかる。
経済成長が減速し、より積極的な措置を求める政治家の声が強まる中、日銀は4月27日の
金融政策決定会合で、資産買い入れ等基金の長期国債購入を10兆円増額するなどの追加緩和策を
決めた。
円が買われる一方で成長は勢いに欠け、欧州債務危機は新たな局面が進行。日銀への圧力は
強まりつつある。

それこそがまさに問題なのだ。
皆の視線が注がれている先は日銀であって、景気刺激策を何ら講じていない日本の政治家に対して
ではない。
こうしたパターンは、日本の1980年代の資産バブル崩壊以降続いてきた。
それが日本の成長を妨げている。紙幣を刷ることのみが再生の鍵であるなら、日本は中国よりも
速いペースで成長しているだろう。日銀はこの10年余り、政策金利をゼロ近辺に維持している。
各種の量的緩和や資産購入など金融政策の未知の領域にも踏み込んだ。
2月には消費者物価(CPI)の前年比上昇率1%を目指すと発表した。
それでも日本の信用システムは壊れている。問題はマネーの供給でなく、その使い方だ。
銀行は貸し出しを渋り、企業と家計はお金を借りようとしない。金融政策に効力を持たせる
乗数効果は、日本では望みにくい。

■野田政権の増税
欠けている要素は信頼感だ。企業幹部や消費者が、次の10年はこれまでの10年よりも繁栄する
と考えるようになるまで、デフレは深刻化するだろう。政府は、雇用増加と所得引き上げのための
インセンティブを生み出す役割を果たすべきだ。
残念ながら野田佳彦政権は別の方面に重点を置いている。増税だ。
確かに、消費税を向こう3年で10%に引き上げれば債務削減には寄与するだろう。
しかし、それは消費に影響を及ぼし、日本が抱える悩みを深くするだけだ。
日本が必要としているのは、生産性を引き上げ、移民受け入れを増やし、
各国との自由貿易協定(FTA)締結に真剣に取り組むことだ。
コーポレートガバナンス(企業統治)を改善し、女性の労働力をもっとうまく活用し、
起業家精神を促し、出生率引き上げに努めるべきだ。

だが、政治家は無策だった。一体何をしているのかといえば、またもや日銀に頼っている。
残念ながら、それで活気に満ちた成長が近い将来に回復することはないだろう。
(ウィリアム・ペセック)