薄型テレビの値崩れが止まらない。最近の平均販売価格は4万円台半ばで、ほぼ10年前のブラウン管テレビと同水
準まで下がった。メーカーや家電量販店が月末の決算期を前に、在庫をできるだけ多くさばこうとしていることも値
下げに拍車をかけている。

 13日、家電販売激戦区の東京・池袋。ヤマダ電機の店頭ではシャープの32型「LC―32E9」が還元ポイント分を
差し引いた実質価格で約2万3千円だった。40型でも実質価格が約3万8千円と、1インチ千円を切る機種が相次ぎ
登場。「数年前には考えられない価格」(販売員)まで下がっている。

 調査会社のBCN(東京・千代田)によると、昨年10~12月に5万円前後(消費税抜き)だった薄型テレビの販売
単価は今年に入ってさらに下がり、4万3千~4万7千円になった。2003年にテレビ販売の8割を占めていたブラウ
ン管テレビは、当時の平均価格が約4万3千円だった。

 だが、同じものをいくら安くしても売れない。GfKジャパン(東京・中野)によると、2月のテレビ販売台数は
前年同月比47%も減った。地上デジタル放送対応薄型テレビの世帯普及率はすでに9割を超えている。

 ビックカメラ有楽町店(東京・千代田)を13日夕に訪れた男性会社員(40)は7年前に32型を20万円台で購入した。
「買い替えも考えているが、革新的な魅力のある製品が見当たらない」と話す。

 テレビが復活するには新たな付加価値の創出が不可欠だ。その一つが10年に登場した3D(3次元)テレビ。だが
「3D目的で購入する消費者はもはやいない」(ビックカメラの販売員)。今後はインターネットをつないで様々な
ソフトを楽しめる「スマートテレビ」や、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの搭載テレビに期待する声もある。

 一方、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)では地デジ完全移行を月末に控え、テレビの販売が好調だ。
ケーズデンキ石巻本店(宮城県石巻市)では「3月に入り販売はさらに加速している。今週末がピーク」という。大
手メーカーの担当者も「売れ筋商品の在庫を3県に優先的に回している」と話す。