日本時間3月7日に発生した2つの太陽フレアに関して、NASAは地球で最大規模の磁気嵐が発生し、
送電網、GPS、通信などに障害が出る恐れがあると警告を発した。しかし、8日に地球へ到達した
太陽嵐の影響は予想外に穏やかだった。
NASAゴダード宇宙飛行センターの太陽宇宙物理学者アレックス・ヤング氏は、磁場の向きが原因
だと指摘する。
磁気嵐は9日にかけて活発化する可能性も残っているが、8日現在ではNOAA宇宙天気スケールの5段階の
うち最も弱いG1(弱)に留まった。「このレベルなら影響は最小限で済むだろう。実質上何の問題も
起きないはずだ」とヤング氏は言う。同氏は太陽観測衛星SOHOプロジェクトチームに参加している。
「太陽嵐の影響が予想外に小さかったのは、地球の磁場に衝突したときの移動方向が大きな原因だ。
地球の磁場の北から到達している」。一方、太陽嵐、すなわち太陽フレアに伴うコロナ質量放出
(CME)が南から飛来した場合は影響が大きくなる。CMEは太陽磁場の変化に伴い大量のプラズマ
粒子が噴出する現象である。
CMEが北からやって来ると、地球の磁場との相互作用は弱まる。「どちらの磁場も同じ向きになる
からだ。逆に太陽嵐が南から到達すれば、相互作用ははるかに大きくなる。巨大なエネルギーが
地球の磁気圏に注ぎ込まれていただろう」。
◆さらに強力な太陽嵐が到来?
今回、太陽嵐の影響は予想を下回ったが、まだ危険を脱していないとヤング氏は警告する。
CMEを起こす爆発は通常、太陽黒点で発生する。磁場の乱流領域である黒点は周囲の温度(摂氏
5500度)よりも低く、摂氏3300度の領域が暗く見える。
7日に太陽フレアが発生した黒点は太陽表面に沿って移動し、複雑な成長を続けている。地球方向
への噴出が新たに発生する可能性が高まっているという。「黒点はホクロと似ている。ホクロの形が
左右対称で整っていれば、まず大丈夫だ。やっかいな問題にはならない」とヤング氏は語る。
「黒点も複雑な形になり歪曲すれば、内部の磁場がさらに乱れていることを意味する。輪ゴムを
ぐるぐる巻いたような状態で、いずれ小さな結び目が飛び出す。現在私たちは黒点を監視しているが、
次第に入り組んできている。Xクラスの太陽フレアが発生する可能性は依然として高い」。Xクラスは
最大級の太陽フレアであり、CMEの発生を伴う。
3月7日に発生した2つの太陽フレアは、大規模な方がX5.4だった。Xクラスの中間の強度に相当する。
太陽は11年周期で活動を変化させており、現在の周期中では2011年8月9日のX6.9に次ぐ大きさだった。
もう1つのフレアの規模はX1.3で、X5.4の5分の1ほどである。
太陽活動が最も活発になる2013年の極大期前後には、はるかに大きな太陽嵐が発生する恐れがある。
「これも正常な周期の一環だ。太陽嵐は大きくなるだろう。深刻な影響を及ぼすかどうかは不明だが、
NASAや米国海洋大気庁(NOAA)をはじめ、あらゆる機関が動向を監視している。これまでよりも
的確に把握できるはずだ」。
