ホイットニー・ヒューストンさんがグラミー賞の前日にビバリー・ヒルトン・ホテルで亡くなったことが明らかになりました。48歳でした。
ホイットニーさんは、同ホテルでグラミー賞前に開かれるクライヴ・デイヴィスのパーティーで歌う予定だったそうですが、ホテルの部屋で意識不明で見つかったということです。
死因は今のところ不明と発表されていますが、自殺かも知れないとも言われています。
ヒューストンさんはストレス回避を理由に、アルコールとドラッグへの依存を加速的に深めていったと言われており、2004年など何度かリハビリ施設にも入っています。
1980年代が青春だった私は彼女の歌声の大ファンでしたので、このニュースを聞いてショックを受けながら、頭の中では「All at once」が流れだしました。
前の年にも事件を起こしていて、その時にはギリギリ執行猶予にしてもらい、「禁酒」を言い渡されているわけです。それでも飲んでしまったのだから、それは意志が弱いのだ、責任を問われても仕方ない、という裁判官や学者など法律家の気持ちはよく分かります。一般の人でもそう考えますよね?
でも、アルコール依存症は、飲酒のコントロール障害です。
意志の力ではどうにもならないのです。回復はしますが不治の病ですし、一度この病気にかかったら、飲酒は一生コントロールできないのです。
ドラッグはともかく、お酒はほとんどの国で合法です。また、「これ以上飲んだらアルコール依存症になる」とわかって飲むわけではありません。いつの間にかなるわけですから予防も不可能です。お酒にだらしないからなるわけではありません。
また、この被告人は、飲んだらダメだと分かっていたのに飲んだのが悪い、というわけですが、アルコール依存症は飲まないではいられない病気なんですよ。いわば病気がこの人に酒を飲ませ、暴行・脅迫をさせたのです。
アルコール依存症は以前はアルコール中毒といい、アル中と略されていました。これほど、だらしない姿がリアルに思い浮かぶ病名もありません。
道ばたで、だらしなく、人目もはばからず酒をく飲んで、ぐだぐだ訳の分からないことを言っている。それがアル中のイメージです。意志薄弱の極みです。
ところで。
アルコール依存症で薬物依存症だったホイットニー・ヒューストンさんは、2001年8月に6枚のアルバムで1億ドル(約76億円)という音楽史上最高額の契約をアリスタと結んだことで知られています。
映画 『ボディガード』が大ヒットし、『ため息つかせて』『天使の贈りもの』などの映画にも出演しました。
これまで売れたアルバムやシングルは1億7000万枚以上。その何枚かに私も貢献しました。
彼女が、天性の歌声だけでこれだけの実績を築き上げられたと思いますか?
いまだにグラミー賞の前夜祭で歌うことになっていたのです。その努力、超人的とも言える意志の力は容易に想像できるはずです。
しかし、いったんアルコール依存症や薬物依存症になってしまえば、彼女の強烈無比な意志力をもってしても、どうにもならないのです。リハビリ施設に入っても決して治りません。アルコール依存症になった人が助かる道は自助グループしかありませんが、助かるかどうかは、それこそ、神のみぞ知る、という話なのです。
(でも、見事に回復はします。社会復帰できます。自助グループが有効である事は専門医達も認めています。
世界的規模の団体で日本にもある自助グループがAA=アルコホーリクス・アノニマス=無名のアルコール依存症者たち。日本独自の自助グループが断酒会=全日本断酒連盟。
希望はあります。どちらも全国津々浦々まであります。是非、お酒に問題があると思われる方ご本人でも、ご家族でも連絡してみてください。)
一説には、日本のアルコール依存症患者の数は50人に1人。200万人をはるかに越えていると言われています。
また、アルコール依存症患者の平均寿命は、アルコールによる病死・自殺・事故死などのために52歳程度という話もあります。
ホイットニーほどの才能があっても、一時どれだけ名声がありお金を稼いでいたとしても、飲酒のコントロール障害には勝てませんでした。名誉もお金も役には立たない。最後は破産状態だったとも言われています。
享年48歳。
アルコール依存症患者の平均寿命までも達しなかった、早すぎる同世代の死を悼みたいと思います。
▼2月11日に48歳で死去したホイットニー・ヒューストン。検視局による死因の特定は中毒テストの結果次第となっているが、
米国時間13日朝に放送された「Good Morning America」に歌手のセリーヌ・ディオンが電話インタビューに応え、
ヒューストンの死は薬物乱用によるものだと語った。
「ホイットニーは私にとってすばらしい発想の源だった。ドラッグと、彼女をとりまく悪い人間関係、
それによる悪影響が彼女の夢と母性を奪い去ってしまったの。
エルヴィス・プレスリー、マリリン・モンロー、マイケル・ジャクソン、エイミー・ワインハウス……。
この人たちの死には薬物がまとわりついているわ。ホイットニーだってそうよ。
愛情も、ファンも、家族も、母性も、彼女はすべてを持っていた。
でも、ドラッグがそのすべてを破壊してしまったのよ」と断言した。
さらに続けて「私は本当に怖いわ。ショービジネスが怖い。ドラッグが怖い。人の集まりが怖い。
だから私はパーティをしないし、人とむやみにつるんだりしない。ショービジネスに取り込まれてもいない。
私たちはこういうものを恐れなければいけないの」と、一見華やかなショービジネスの世界を暗に批判しながら、
切々と語った。
ヒューストンには元夫であるボビー・ブラウンとの間にボビー・クリスティーナという18歳の娘がいる。
自身も3人の子の母親であるディオンはこのことにも触れ、
「彼女には家族があったのよ。それ以上、何が必要だったというの? 家族、愛、母であるということ……
これに勝るものなんてないでしょう?ステージに立つために薬を飲み、起きるために薬を飲み、寝るためにも薬を飲み……。
不幸としか言いようがないわ」と、愛すべき家族を持ちながらドラッグに手を染めてしまったヒューストンの不運を嘆いた。