2月7日(ブルームバーグ):東京電力の福島第一原子力発電所2号機原子炉の温度が再上昇した問題で、東電は7日注水量を増やしたが夕方になっても高止まりが続いている。午前中に70度を割った2号機圧力容器下部の温度は午後1時現在で71.5度に再び上昇したが、5時現在では68.5度。
東電によると、7日午前10時に69度だった温度は、11時69.6度、午後0時70度とわずかながらも上昇した。午後2時以降は69.1度からやや低下傾向を示した。昨年9月末に100度を下回り、今年1月は50度前後で推移していたが、2月に入ってから上昇し5日午後に70度を超えた。6日午前7時に73.3度に達して以降の圧力容器下部の温度は70-72度で推移していた。
松本純一原子力・立地本部長代理は温度上昇の原因について「はっきりしたことはまだ分からないが、配管を切り替えた際に注水量を調整したことが大きな要因とみている」と述べた。給水系からの注水はこの際にゼロに絞ったという。
東電は7日未明、再臨界を防止するために原子炉にホウ酸1094キログラムを混ぜた水を注入した。午前4時24分からは炉心スプレイ系からの注水量を毎時3.7立方メートルから6.7立方メートルに増やしたほか、給水系からの注水も6.8立方メートルに増やした。
松本氏は、再臨界の可能性について放射性物質キセノン135が検出限界値の10分の1程度であることなどから「再臨界には達していない」と説明した。
東電としては、原子炉の温度がおおむね100度以下で推移する「冷温停止状態」の判断を変えていないが、松本氏は「注水増量後の推移を1日程度観察したい」との方針を示した。
松本氏は夕方の会見で、「冷却がきき始め、温度は頭打ちになっている」としながらも、「8日午前中まで様子を見たい」と述べた。ただなかなか温度が下がらない場合は注水量を増やす可能性があると示唆した。当面は元の50度程度までの低下を目指すという。
野田佳彦首相は昨年12月16日、福島第一原発が冷温停止状態に入ったとし、事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が終了したと宣言していた。
東電福島第1原発事故を受け、被ばく対策の見直しを進める原子力安全委員会の分科会は7日、甲状腺がんを避けるための安定ヨウ素剤を原発周辺の家庭に事前に配布するべきだとする提言をまとめた。深刻な被害の恐れがある原発から半径5キロ圏内を中心に、30キロまでの地域も事前配布の対象とし、やや離れた50キロまでの地域も検討の余地があるとした。
原子力規制庁などが策定する新たな防災指針に反映させる狙いで、安全委が3月までにまとめる見直し案に盛り込む。
福島第1原発事故では、福島県などが準備したヨウ素剤が国の服用指示の遅れでほとんど活用されなかったのを反省。
東京電力福島第一原子力発電所の2号機で、原子炉の一部の温度計が上昇傾向を示していることについて、原発の事故解析に詳しい、エネルギー総合工学研究所の鈴木洋明主管研究員は、「温度上昇の原因は、原子炉の上部にある配管から注いでいた冷却水を、工事でいったん止めて、注水を再開した際に、流れの経路が変わり、燃料にうまく水が当たらなくなった可能性が考えられる。また別の可能性として、注水を再開した際に、原子炉の上部に残っていた燃料の一部が、水の勢いで温度計の近くに落ちて、温度が上がっていることも考えられる」と話しています。
一方、核分裂反応が連続する再臨界の可能性については、「放射性物質のデータや原子炉の出力の変化などから、現時点では低いとみられる」と話しています。
そのうえで、鈴木研究員は「原子炉の温度が100度を超えると、水が沸騰して、原子炉の中にとどまっている放射性物質が外部に放出される可能性も出てくる。原子炉の中の状況は直接見ることができず、解析で推定している段階で、正確に把握できていない。東京電力や国は、予断を持たず、監視を強化して、注水の場所や量を工夫して、温度を下げる必要がある」と指摘しています。