「日本車より品質が良いかも・・・」
幾度となく韓国メーカーの台頭ぶりを伝えている小沢だが、遂に最新ヒュンダイに乗れることになった。それも東京で!
まだ正規ではなく、春をメドに並行輸入しようとしている勇気あるショップの先行テストカーだが、ステアリングを握った瞬間私は
青くなった。本当に良くできているのだ。
去年韓国でヒュンダイに乗ってきた同業者曰く「品質はまだ“完璧には”日本車に追いついてないね」とのことだったが、追いついてる
どころか、別解釈をしている部分すらある。短時間だが驚異の追い上げを裏付けするのに十分なクオリティーだった。

■ホンダも日産も抜かれたヒュンダイに日本では乗れない!?
ヒュンダイ(現代)はご存じ韓国筆頭の自動車メーカーだ。なかでも「i40」は、グローバルセダンの「ソナタ」とプラットフォームを同じく
する欧州向けステーションモデル。去年発表された最先端である。
というか今や韓国純資本はほぼヒュンダイグループの「ヒュンダイ」と「キア」の2ブランドしか残ってない。デーウ(大宇)は既に
GM傘下だし、サムスン(三星)はルノーグループだし、サンヨン(双竜)も先頃インド資本のマヒンドラに買い取られた。
しかし、韓国ブランドが驚異でないどころか逆だ。報道されて久しいが、2006年にヒュンダイ─キア(現代・起亜)は主に北米で
売り上げを伸ばし、ホンダを抜いて世界6位メーカーに。ここ数年はデザイン力と品質を上げて10年にはルノー日産を抜いて世界4位。
欧州市場に限ってはトヨターレクサスグループを抜いてアジアメーカー筆頭となり、直近2011年はおそらくGM、VW、トヨタかルノー日産
に続き5位。
順位こそ落ちているが、それはルノーグループのアライアンスの妙で、ヒュンダイグループの世界での新車販売そのものは約574万台
から約659万台と見事に大幅増。
とはいえ日本 VS 韓国全体では、メーカー数の違いから北米でも欧州でも日本の方がシェアは上。必要以上に構えることはないが、
ヒュンダイグループ単独では驚異で、特にこれからの中国、インドをはじめとする新興国での伸びはハンパじゃない。
加えて恐ろしいのは現状、我が日本では、ヒュンダイの乗用車に乗れないこと。2009年にトラック部門を残して撤退しているからだ。
つまり、実際のすごさや伸びの理由を国民的に共有することができない。実際、今回このクルマを入れた「CRADLE」の大鶴純二氏も、
「今のヒュンダイを入れたら結構売れそうだな…と思ったことも大きいですが、それ以上に今の日本人がこのすごさを知っておくべきと
思ったこともあります」と率直に言う。
果たしてその驚異の品質、どうなのか?


というわけで予想以上に良く出来ていた最新ヒュンダイ。ざっと乗った限りでは、ステアリングの軽さにこそ最初は気を取られたものの、
ボディー剛性感、乗り心地、静かさ、高速安定性、インテリアのクオリティー等で特に気になるところはなかった。これで日本車よりも
安ければ海外で売れるのも納得できる。
特にアドバンテージを感じるのはどう考えてもデザインだ。もちろん日本車だって悪くはない。だが、こと大胆さ、アグレッシブさでは
完璧にヒュンダイだ。最近は「ハードは横並びで、デザインが勝負」が当たり前の時代。そう考えると自動車でもコリアンパワーが無視
できないのはよく分かる。
デザインとは技術とか資本云々の話ではない。「ヤル」か「ヤラない」か。それだけの問題。意思であり気持ちの問題なのだ。
もちろん日本企業は合議制で、「いいデザインが出ても、上からいろいろ言われているウチに凡庸になる」とか逆に韓国企業は
トップダウンで「リーダーがいいと思えばすぐに通る」とか「デザイン部門に力がある」などいろんな組織上の問題はある。
だが、結局それって企業体質であり、国民性の問題そのものなのだ。例えばサッカーだが、明らかに韓国の方が情熱的で感情を
表に出す。逆に日本は抑え気味だが、テクニックはあるし、粘りもある。
もはやベーシックな技術では同等のところに来ており、残るは細かなノウハウや、組織的にスピーディーであるか否か、最終的には
“パッション”の問題に来ていると思う。


前述したようにメーカー数やシェアを考えると、そう簡単にテレビ事業ほどに逆転を許すとは思えないし、自動車産業の構造は
家電以上に深い。北米市場だって、そうすぐにトヨタには追いつけないだろう。
だが、こと台数勝負になると今後の伸びは、新興国次第だ。特に中国とブラジルとインド。今、年間2000万台前後の中国は
2020年には3000万台市場になると目され、ブラジル、インドも同様に1000万台クラスになると言われている。となるとここは“これから”
の部分も大きい。この第二期自動車戦国時代。ポイントは守りではなく、攻めなのだ。
私も含め、そこは肝に銘じたい。やはりヘタをするとやられるだろう。
前述「CRADLE」では、このi40の2Lガソリン仕様を3月か4月には全国の「NAFCA」グループ約130拠点で発売する予定だという。
お値段は、3年程度の保証付きで350万円前後。実力を考えると十分悪くないチョイスだ。
気になった方はぜひ一度、試乗してもらえたらと思う。それもまた日本の力を冷静に見つめるいい機会につながるのだ。
