大震災を経験し、幸せの在り方を見直す機運が日本社会に広がっている。「絆」という言葉の“再発見”しかり。昨秋、ブータン国王夫妻の来日が話題を呼んだのも、この国が国づくりの指標とする「国民総幸福量」と関係していよう▼心理学でも「幸福とは何か」という研究テーマが近年、話題だという。こんな実験が紹介されていた▼集団を三つに分け、それぞれ9週間、①感謝したこと②面倒だったこと③起こった出来事、を記録させる。最も満足度が高く、かつ健康状態も良いのは「感謝したこと」を記録する集団だった。また、「人に親切にしたこと」を記録するグループと、何もしないグループでは、前者の方が幸福感が高かった(『幸せを科学する』大石繁宏著、新曜社)▼一方、幸福感の低い人には、他者と比較して自己評価を下す傾向が強いことも、同書では紹介されていた。
▼他人でなく、きのうの自分ときょうの自分を比較する「向上の人生」。人を支え、自分も元気になる「励ましの人生」。支えてくれる人に感謝し応えていく「報恩の人生」の中には、幸福の種がいっぱい詰まっている。