最近の子どもの名前を眺めていて、どうしても気になることがある。
どう読んだらいいのか分からない名前が増えているのだ。

学校などでも、先生が生徒の名前の読み方をすぐには分からずに戸惑っているという話をよく耳にする。
なぜ、こうした不思議な現象が起きているのか? 探ってみた。

まずは皆さんにクイズ。
心星、允彪、英虎、騎士、楽心、希星。愛月、葵絆、海、聖白、一葵、詩空。
これらの名前をどう読むのかお分かりだろうか?

答えは みしょう、まさと、えいと、ないと、らう、すばる。あいる、きずな、まりん、ましろ、いちる、しえる。

前半が男の子、後半が女の子の名前だという。
とてもフリガナがないと、読めないだろう。いや、フリガナがあったとしても、すんなりとは読めない人がいるのではないか、というのが正直な感想だ。

このように、読むのが難しいと思われる名前の実例をまとめたのが表1である(2011年生まれの男女)。
どうだろうか? フリガナなしでうまく読むことができるだろうか?

実はこれらは一例にすぎない。世の中にはこうした「個性的な名前」が急速に増えているのだ。
人気ランキングの上位にも、読み方に戸惑うような名前が顔を出している。

表2は明治安田生命保険がまとめた11年生まれの子どもの名前の人気ランキングで上位に入った名前である。いわば、数の多いメジャーな名前の代表だ。
大翔、颯太、陽翔、陽菜、結愛、愛菜。だが、これらを皆さんはフリガナなしで正確に読めるだろうか? 中にはどう読むのか分からず、首をひねる方がいるかもしれない。

たとえば男女各1位の名前、大翔には「ひろと」「はると」「やまと」など、陽菜には「ひな」「はるな」「ひなた」などと複数の読み方がある。
昔と違って、「これだ」という決まった読み方がない。一見しただけでは読み方が分からない名前が増えているのだ。
どうしてこうした現象が起きているのだろうか?
大きな要因の1つとして、音の響きやリズム、イメージを重視する傾向が急速に強まっていることが挙げられる。

子どもに名前を付ける際に、まず読みを先に決めてしまい、後から文字を当てはめるという親が増えているのだ。

それを可能にしているのが「あて字」の使用。

現行の規定では、名前に使用できる字には制限があるが、読み方については原則自由とされている。
だから、自分の解釈や感覚で好みの字を名前の読みに当てはめることができるというわけ。

最近、はやっているのは心(こころ)、愛(あい)、楽(らく)の頭文字をとって、それぞれ「こ(ここ)」「あ」「ら」と読ませるあて字。
「心愛」と書いて「ここあ」と読む名前もランキングの上位に入っている。

また翔は、翔ぶ(とぶ)の頭文字から「と」と読ませるあて字として人気が高い。
11年は東日本大震災の影響から、絆(きずな)と書き、「き」と読ませるあて字も増えているそうだ。

光を「ぴか」、月を「るな」、星を「きらら」などと読ませるあて字も増えている。これらは外国語や状態を示す言葉をもとにしたケースである。
こうした読みが社会にすでに浸透しているのならば、それほど問題はないかもしれない。

だが、実際はまだ浸透していないから、様々な支障や混乱が生じる恐れがある。特に年配者らには抵抗感が強いかもしれない。

取材を進めると、さらに様々な要因が浮かび上がってくる。

読みにくい名前が増えている背景には、音の響きを重視し、あて字を使うという傾向に加えて、
(1)少子化に伴い、親が子どもの名前により強いこだわりや他人とは違う個性を持たせたいという風潮が強まっている
(2)昔と異なり、祖父母や親類が名付けに関与しなくなっている(3)漫画、アニメ、テレビドラマ、有名人の名前などの影響をより強く受けている
(4)国際的にも通用しやすい名前を付けようとしている――などの要因があるようだ(表1)。




$シロップ_821とそよ風の語らい