日本政府が16日、東京電力福島第1原子力発電所の原子炉が「冷温停止状態」を
達成したと発表したことを、海外メディアも同日、相次ぎ報じた。「重要な節目」(ロイター
通信)としながらも、「危機が存在しないというような言い方は誤り」(ドイツの公共放送ZDF)
など専門家の見方を紹介しての懐疑的な報道が目立った。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は「大災害を収束に近づけるための大きな
一里塚」と報じる一方で、原子炉解体などには数十年かかるだろうとの専門家の見方を
紹介した。英国放送協会(BBC)も電子版で「放射線レベルがいまだ高く、帰宅できない
人が多くいる」と指摘した。

 米CNNテレビ(電子版)は「日本政府は大きな出来事としようとしているが、現実は違う」
「(原発の安全性に関する状況は)6月時点と基本的に変わっていない」との専門家の見方を
紹介した。

 福島第1原発事故を受けて「脱原発」を決めたドイツでも懐疑的な論調が目立つ。DPA
通信は「安全性という観点からみれば、原子炉の現状はほど遠い」との専門家の発言を報じた。
シュピーゲル(電子版)は「東京電力には良いことだが住民にとっては意味がない」と批判的に伝えた。

 日本と地理的に近いアジアのメディアも懸念を示す。中国の国営新華社は広範囲に及ぶ
放射能汚染の除去や被災者の帰宅問題など、重要な課題は依然山積していると指摘。
韓国聯合ニュースは「事故の収拾作業が峠を越えたと国内外に示そうとする意図だ」と解説。
そのうえで「一部の専門家は『性急だ』と批判している」と報じた。

 原子力政策を推進するフランスではAFP通信が現在の原子炉の状況を詳しく解説。一方で
「闘いはまだ終わったわけではない」との野田佳彦首相のコメントを引き合いに出した上で、原子炉
解体までは30~40年かかるという部分を強調した。