現代の20代、30代の人たちには、より上の世代にはごく少ない独特の体型が
増えているという確かな印象を、私はもっている。それは「幼児体型」と言えるものだ。

 男性の場合、大人の男の精悍(せいかん)さがなく、ぷよっとしてしまりの乏しい
体型である。女性の場合、色気があまり感じられずバストやウエストなどの凹凸も
少ない。肌の艶もあまりよくなく、いわゆる「恋をすると女性は綺麗になる」の逆の
状態だ。男女とも、顔つきが子供っぽく、大人の顔に刻まれる個性が薄い。

 人の体型にはさまざまなタイプがある。逆三角形、筋骨隆々、直線的、丸みを
帯びた、などで、これらは生涯にわたるその人の個性だが、ここでいう幼児体型は
それとは異なる。卒業すべき体型を、大人になっても持ち続けている不自然さがある。

 身体への並はずれて微細な観察をおこなった整体指導者の野口晴哉(はるちか)
氏は、男女の性的身体の発達の、腰椎(ようつい)を中心に起きる現象を詳細に
捉えている。5つの腰椎は子どもではほとんどカーブがない直線を描くが、思春期を
通じて腰椎3番が一番中に入る形で大きくカーブを描くように変化する。

 現実の異性に働きかける行動やセックスの能力には、腰椎のその発達が必要だ
という。幼児体型の人は確かに腰椎のカーブが浅く、腰椎3番が中にぐっと入って
いないために、腰の重心が高い腰高に見える。

 面白いと思うのだが、腰高の人が増えているこの年代の人たち自身、たとえば
男性がカジュアルなズボンの中にTシャツの裾を入れたりする、腰高に見える着方を
するのを、よく忌避して笑い物にする。ズボンをずり下げてはく若者の「腰高が格好
悪い」という漠然とした感覚は、性的身体の発達に対する人々の直感的把握を
示していると思う。だが本当に問題にすべきなのは、服の着方ではなく腰椎の形状の
もたらす腰高なのだ。

 数年前「電車男」が映画化、ドラマ化された時に、オタク青年を演じた山田孝之や
伊藤淳史が、オタクらしい服装をしたが決して本当のオタクには見えなかったのは、
彼らが幼児体型ではないからだった。

 性的身体の発達の要である腰椎の発達は、アニメやゲームの二次元世界ではなく、
自分自身が関わる現実として異性を意識して行動することで促され、その結果、
腰椎が発達すると、さらに異性を意識した行動が高度にできるようになる。思春期や
20代に二次元世界に惑溺することは、身体に取り返すことが難しい影響を残すと
言える。性的に未発達な身体の増加を、社会は真剣に問題にすべきではないか。